ノマドランド

画像引用:Amazon

アカデミー賞での評価に違わぬ傑作でした。
tomatometerも93%の評価です。

高齢の車上生活者をノマド(遊牧民)になぞらえ、
ドキュメンタリータッチで描いた作品ですが、
キャストの何人かは、実際の車上生活者が起用されています。

フランシス・マクドーマンド扮する寡婦が、
住んでいた街の工場閉鎖により流浪を余儀なくされ、
Amazonの期間工などで現金収入を得ながら各地を流浪する物語です。

流浪の過程で、同じような境遇の人々との交流や別れを経験しますが、
特段劇的な展開はなく、淡々とした日々が描かれていきます。

一見気ままな車上生活ですが、実際は高齢者の貧困問題と結びついています。
そこが本作の主要なテーマでもあるんですが、監督のクロエ・ジャオは、
社会問題を描くだけにとどまっていません。

マクドーマンドの抑えた演技と心象風景を投影したような美しい映像を通し、
寡黙ながらも、ノマドたちの心情が切実に伝わってきます。
言い方を変えると、言葉や物語に頼らず、映画にしかできない表現方法で、
人間の内面を描き切っているように感じられます。

とても心に沁みる作品でした。

「エターナルズ」はまだ見ていませんが、
MCUの対極に位置するような作品を撮ってきたジャオ監督が、
マーベル作品でどんな演出をしているのかが楽しみです。

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