ブ.ツ.ギ.ヲ.カ.モ.ス

孫クンの口から「ブツギヲカモシテイル」との単語が発せられました。
一瞬何のことかと思ったら、「物議を醸している」のことでした。

日常会話では決して使われないであろう単語を、彼が口にしたのはyoutubeの影響です。
孫クンは、ユーチューバーのセリフをそのまま諳んじることを特技としています。

「○○市の住宅街に、UMA(未確認生物)らしき生物が現れたとの情報が入りました。付近の住民から大型の獣に似た生物の目撃情報が相次いでいます。一方で、大型の犬ではないか、との証言もあり、現地ではブツギヲカモシテイマス・・・・・・・・・・・」といった台詞をスラスラと諳んじてくれます。
最近の幼稚園児は、教室で教わらないような難しい言葉をyoutubeから学んでいるようです。

そうかと思うと、ダブルウォールグラス、所謂、二重グラスを見て「このグラスの構造は、スペクタクルだね」などと言います。
???と思って真意を問いただすと、どうやら「パーフェクトだね」と言うべきところを、語感の雰囲気だけで”スペクタクル”が出てきたようです。
新しい言葉を沢山仕入れても、言葉の引き出しを間違うことも多々ありますが、トライ&エラーで成長していくんでしょうね。

youtubeだけでなく、愛読書にしている「最強王図鑑」からも沢山の難しい言葉を仕入れてきます。
「…農耕の神クロノスが”万物”を切り裂く鎌を使って攻撃を加え…」の下りを読み聞かせてやると、すぐさま”万物”の意味を尋ねてきます。
万物とは、宇宙に存在するすべてのものであることを教えてやると、数分後には庭に飛び出し、「万物を切り裂く箒だ!」などと叫びながら、竹箒を振り回しています。

ちなみに、「最強王図鑑」は子どもたちに大人気ですね。
マンモスVSスズメバチとか、ハンデを1万点ぐらい与えないとハチには勝ち目がなさそうですが、そんな不釣り合いな対戦でさえ、臨場感をもって描写され、子どもたちを夢中にさせているのが「最強王図鑑」です。
男子が異種格闘技に血沸き肉踊らせるのは、今も昔も変わりありませんね。
私たちの世代にとっては、猪木VSモハメド・アリとか、VSウィリー・ウィリアムスとかでしょうか。

子どもたちとは反対に、新しい言葉を覚えられず、昔覚えた言葉を忘れていく人々もいます。

年上のセンパイたちとの酒宴では、会話がなかなか前に進みません。
言葉=単語が、すんなり出てこないのが原因です。

ジイサンAが「”アレ”が原因で労働者の賃金が上がらないんだ!」などと言い出すと、すかさずジイサンBから「”アレ”って何だよ?」とツッコミがはいります。
「ほら、”ナントカ”世代とか言うやろ、”ソレ”の違う言い方があっただろう」などと言い出すと、会話は更に混迷を極めます。
ジイサンAが指す”アレ”が何のことなのか、本来のテーマはそっちのけで、しばし”アレ”の正体をめぐって話し合いが繰り広げられます。

不毛な議論の末、日本人の貧困の原因について話しているらしいということがわかり、ジイサンCが「非正規雇用のことか?」と言うと「そうそう、非正規雇用に頼り過ぎたから、日本が貧しくなったんだ」に落ち着きます。
“アレ”の正体が明らかになるまで10分ほどかかってしまい、肝心の日本人の貧困についての議論は、そこで終了です。
“アレ”や”アイツ”の指示詞に名詞をあてはめるだけで、会話の大半の時間を費やしてしまう、”高齢者の酒宴あるある”です。

高齢者をテレビに出演させ、”アレ”や”アイツ”を当てるクイズ番組を企画してみてはどうかと思ったんですが、多分需要はありませんよね?

自分より高齢のセンパイをバカにしていますが、私も最近、小説を読んでいて”二重否定”を苦手に感じることがあります。
気のせいか、最近の小説は、二重否定を多用しているようにも思います。
「行かないこともない」程度ならへっちゃらですが、仮定法の二重否定で攻められると少々戸惑います。
「もしAがBを助けなかったら、CがDを助けることもなかっただろう」といった文章に出くわすと、途端に頭の中の整理がつかなくなります。

若者言葉の二重否定も苦手です。
「よくなくない」とか、「なくなくない」とか言われたって、よくわからなくない?

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