ブランド戦略について考える(※やや下ネタ注意)

東京出張の折、原宿の「ハラカド」という商業施設に立ち寄りました。
オープン時にも来たことがあるのですが、相変わらず国内外のお客さんで賑わっています。
オシャレなテナントの中で、ひときわ目をひいたのが「TENGA LAND」という店舗です。
TENGAって何?っていう、特に女子には説明しづらいので、そこのところはネットで検索してみてください。

オープン時にも「TENGA LAND」には気づいたはずなのですが、記事にしなかったところを見ると、一瞬驚いただけですぐに忘れてしまったのでしょうね。
今回、TENGAにまつわる別の記憶と繋がったため、記事にしてみました。

ソフトな下ネタですが、苦手な方はこの辺で立ち去って下さい。

実は、TENGAを愛用している年下の友人がいることを思い出しました。
宴席で、その素晴らしさを聞かされたこともあるのですが、その彼が、TENGAを購入した直後、心筋梗塞で倒れたことがあります(TENGAとの因果関係はありません!)
集中治療室に搬送されながら、自分が経営する会社の事務所にTENGAを置きっぱなしにしてきたことを思い出し、危うく人生最後の記憶がTENGAになるところだった貴重な経験をしています。
手術を終え、集中治療室で目覚めた友人は、万が一のこと(?)を考え「今すぐ電話をかけさせてくれないと、会社が大変なことになる!」と看護師さんを脅し、集中治療室から腹心の部下に対し、TENGAの証拠隠滅を指示した人物です。
ある意味、TENGAが彼を”性”に、じゃなくて、”生”に繋ぎとめたと言っても過言ではありません。

さて、国内外の若者が集まる最先端の場所に店舗を構えるTENGAのブランディング戦略に、俄然興味が湧いてきました。
HPを見ると「『生きる』をよろこぶ世界へ」を経営理念に掲げ、目指している世界観を明確なメッセージで伝えようとしています。
製品の販売だけにとどまらず、啓蒙活動、社会貢献活動などにも余念がありません。
性に市民権を与えることで、世界を変えたいという意志を感じます。

イダログ世代が”大人のオモチャ”と呼んでいた淫靡な後ろめたさは微塵もありません。
自らを”セクシャル・ウェルネスブランド”と称し、かつていかがわしい名称で呼ばれていた器具は”セルフ・プレジャーアイテム”なる美しい響きのものに生まれ変わっています。
見事なブランド戦略です。

HPや店舗で目にするスタッフの皆さんは、一見自社製品とは無縁な印象を与えるような爽やかな若者たちです。
明るくオシャレな店舗を、インバウンドの皆さんは、どんな目で見ているのでしょうか。
made in japanのお土産物みたいだけど、なんだろね?って思っているかもしれません。

一方で、ブランディングの視点で気になるのが、ペルソナの設定です。

製品の特性上、マーケティングにはつきものの、”使用シーン”なるものが目に浮かんできて、TENGAのオシャレなイメージの邪魔をします。
原宿のオシャレなファンションビルに店舗を構え、水原希子さんとの共同開発をしたり、健康関連商品やアパレルにまでブランドの幅を広げようとしても、顧客のマジョリティは、私の友人のような清く正しい変態さんたちなのですよ。

一度、友人をハラカドの店舗に連れて行きたいものです。
オシャレなスタッフさんたちは、昔ながらの清く正しい変態さんをターゲット顧客として扱ってくれるでしょうか。
おそらく色とりどりのTENGAを目のあたりにした友人は、舞い上がってセクハラ発言を連発するに決まっていますが、そんなお客に遭遇したスタッフさんは、(なんだこの変態は!ペルソナ設定でイメージした客層とは似ても似つかねえじゃねえか)って追い出されたりしないのでしょうか。

ブランド戦略と現実のギャップが良い意味で面白く感じます。
TENGAがどうやってそのギャップを埋め、これから世界を変えていくのかが楽しみです。

ちなみに、ハラカドの地階には銭湯もあります。
銭湯の縁側スペースでは生ビールが飲めたりします。
元々は、由緒正しい地元の銭湯らしいのですが、オシャレに生まれ変わってしまうと、♪小さな石鹸カタカタ鳴った♪世代の私なんかは、ターゲット顧客からはずされてるんじゃないかな、などと気後れしてしまいます。

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