
「パプリカ」をはじめとした傑作を残し、若くしてこの世を去った今敏監督による2003年の作品です。
生前も世界的な評価を得ていたアニメ監督ですが、存命していれば間違いなく宮崎駿や新海誠と並び称されていたか、もしくは、もっと別格な扱いを受けていたかもしれません。
Amazonプライムの100円レンタル(2025年3月末まで)を利用し、あらためて鑑賞しました。
3人のホームレズがゴミ捨て場に捨てられた赤ん坊を拾い、親探しに奮闘するお話です。
ありがちなハートウォーミングファンタジーですが、今監督の手にかかると、アニメなのに実写映画のように生き生きと見る者の胸に迫ってきます。
笑えるギャグアニメは珍しくありませんが、本作のような良質なコメディーアニメは、稀有な存在ではないでしょうか。
一方で、人情喜劇のような日本的叙情性も感じさせてくれます。
展開がご都合主義とのレビューも見られますが、そこはファンタージですから何の問題もありません。
今監督が残した4本の長編アニメは、それぞれテーマや味わいが異なっていますが、いずれもが傑作です。