DUNE/デューン 砂の惑星

画像引用:Amazon

評価の分かれる大作ですが、
高齢の映画ファンにとっては、デイヴィッド・リンチ版でキツネにつままれたような経験をしているだけに、
本作は、とても良くできているというのが率直な印象です。

リンチ版は、あまりにも彼の世界観が強すぎ、悪趣味で異様な造形ばかりに目を奪われ、
リンチお気に入りのカイル・マクラクランの時代錯誤的な美男ぶりと、
抜き身の刃のようにギラギラしていた頃のスティングばかりが異彩を放っていた印象です。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督推しのイダログなので、贔屓目に見てしまうところもありますが、
「ブレードランナー2049」といい、本作といい、だれもが挑んで見たいと思うものの、
腰が引けてしまいそうなテーマを、高いクオリティーで成し遂げてしまう手腕はさすがです。

なまじリンチ版が世紀の大失敗に終わったがために、
その後、原作小説の影響を受けたであろう、「スターウォーズ」や「ナウシカ」を見た映画ファンの目には、
本作が、どこかで見たような、ありふれたエピソードが延々と(155分)続く映画に見えてしまうのも頷けます。

しかし、そんな先入観を捨て、ここから全てが始まったんだ、って思って見てみると、
あらためてすごい物語なんだなと気づかされます。

MCUと比べるとアクションシーンも少なく派手さが感じられないかもしれませんが、
まるで絵画を見てるような映像美には圧倒されます。

また、ユーモアの味付けもなく、
重厚な演出と演技によるゆっくりとした展開を退屈に感じる向きもあるかもしれませんが、
たまには、映画芸術の原型みたいな作品に触れてみるのも、新鮮で良いものです。

オープニングタイトルにはPART1と記されていましたので、PART2が楽しみな傑作です。

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