“未”顧客理解 / 芹澤連

画像引用:Amazon

「顧客(=買ってくれる人)」ではなく、自社の商品やサービスを知らない、もしくは知っていても興味がない「”未”顧客」にこそ目を向けましょうという本です。

従来型のマーケティングやブランディングが、ロイヤルティーの高いヘビーユーザーとの関係性に依存しがちな現状へのアンチテーゼでもあります。

既存顧客をベースにしたマーケティング、-例えば、コミュニティーづくり、仲間づくりに注力するマーケティング-、に頼っていると、ヘビーユーザーが徐々に離反していくにつれ、購買曲線も低下していくことをエビデンスで証明してくれます。

従って、”未”顧客の取り込みに注力しない限り、ブランドを成長させられないと言うことです。

未顧客を獲得するためには、CEP(カテゴリー・エントリー・ポイント)を増やし、ブランドへたどり着く確率を高めてやらなければなりません。
例えば、ある商品が、健康に良い、おしゃれ、丈夫、など複数の効用を持っていたとすると、それぞのポイントを消費者の生活の文脈ごとに提供してやる(エントリーポイントを増やしてやる)、ことが購買チャンスを高めることになります。

ECに置き換えて考えると、コンバージョン率を高めるべきか(買いに来てくれた顧客に着目するか)、集客を高めるべきか(未だ買いに来てくれていない顧客に着目するか)、の命題にも繋がりそうです。

顧客の文脈の捉え方についても、具体的な手法が説明されており、実際にはそううまくいかないよ、と言いたいところもありますが、理論的で腹に落ちやすい説明は、従来の常識を疑うきっかけを提供してくれます。

全てに納得できるわけではありませんが、知的好奇心を刺激し、固定観念に捕らわれない、多元的な視点を促してくれます。

マーケティングに関わる人には、是非お勧めしたい良書です。

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