最後の晩餐

おせちを食べんと、正月を迎えた気がせんのじゃ!といった拘りはまったくなく、正月でもパンとコーヒーで良いや、って思ってしまう高齢者ですが、きな粉餅と黒豆だけは欠かせません。

きな粉餅や黒豆って、別に正月じゃない時に食べても良いんでしょうが、正月以外に食べようとすると、何時までも浮かれてるんじゃない!とか怒られそうで、何となく後ろめたい気がします。

毎年年初には、きな粉餅と黒豆は是非通年で献立に加えていただけませんか?と妻に懇願するんですが、年始に集中的に食べるため、鏡開きが終わった頃には飽きてしまって、一年中食べるほどのこともないかな、とか簡単に年始の誓い撤回してしまうことを妻も承知しているため、その場では、ハイハイと言ってくれます。

どんなに好きな食べ物でも、頻繁に食べて続けると飽きてくるものですが、中には子どもの頃からずっと食べ続けているのに未だに楽しみにしている献立があります。

いい年したジジイが、まさかカレーじゃないよな?と言われそうですが、カレーです。

20代の頃、会社の寮で暮らしていましたが、水曜日はカレーの日と決まっていました。
大きな鍋にまとめて作っておいて、好きなだけ注ぎ分けるスタイルだったため、鍋が空になる前にカレーにありつこうと、水曜日だけは、皆の帰りが早かったんですから、男の子は、いくつになってもカレーが好きなんですよ。

女子のカレー好きはあまり聞いたことがありませんが、多分おしゃれじゃないっ!とか気取っているだけで、きっと女子も男子と同じくらカレーが好きなはずです。

娘(3歳児の母)は、子どもの頃辛子明太が大好きで、大人になって自分で稼ぐようになったら、一本”まるごと”手に持って食べるのが夢だと、大それた野望を語ってくれていましたが、未だに実行していないところを見ると、純真な思いが失われたか、バカバカしさに気づいたからだと思います。

大人になって子どもの頃の夢を思い出すっていうネタは、ファンタジー映画にありそうですが、辛子明太じゃ心揺さぶられそうにありません。

私が暮らす地域では、豚バラを串に刺したものを”焼き鳥”と呼んでいます。
もちろん、鶏肉の焼き鳥やつくねなど一般的なメニューもありますが、何といっても人気は豚バラです。
本心を言うと、豚バラだけを食べ続けたい気もするんですが、それしか食べないのは、何となくマナーに反するようで躊躇してしまいますし、やっぱりまんべんなく注文した方が、豚バラも引き立ちますしね。

若い頃、会社の先輩が、オレは、ハンバーグが好物だとか言う男は信じない、と真顔で話しているのを聞いてから、ボクはカレーが好きです、などと長閑なことが言えなくなってしまいましたが、こういう時は何と答えるのが正解なんでしょうか。
カツオのたたき!とか、鉄火巻き!とかだと、男らしく聞こえますか。

最後の晩餐に何が食べたいかって言われたら、咄嗟に思いつくのは、カレー、お好み焼き、冷やし中華、焼きそば、とうもろこし、とかファンキーな食事ばかりです。

死ぬ前にカレーだと口の中に味が残りそうで、舌が香辛料色になるのも何となく気持ち悪いですよね。
何かのアンケートで読んだんですが、ダントツは白いご飯だそうです。
確かに死ぬ前に胃にもたれるようなものは食べられそうにないので、お茶漬けなんかも良さそうです。

問題は死んだ後ですが、カレーやお好み焼きが仏前に備えられる可能性はなさそうなので、やっぱり最後の晩餐は、好きなものを食べておくべきでしょうか。

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