今年初めての台風が日本列島を縦断しそうなタイミングで、東京出張が入りました。
進路予想図を睨みながら「”円”が小さくなってるから、勢力は大したことないんじゃない」と妻が言うのですが、予想円ってあくまでも予想進路の誤差を表すものなので、勢力の大小とは関係ないんですよね。
視覚効果のせいで、円が小さいと勢力が小さいような気がしてしまいます。
進路予想って、12時間ごととか24時間ごととか、大雑把な間隔でしか教えてくれないのですが、最大の関心事は自分がいる場所に接近するのは何時なのか?です。
1時間ごとで刻むと、予報円だらけになってしまうからだそうなので、致し方ないのでしょうね。
ネットリテラシーが問われる昨今、不謹慎で申し訳ないのですが、小学生ぐらいの頃って、台風の接近にワクワク感を禁じえなかったのは私だけでしょうか。
被害に遭われた地域の人のことを考えろ!って小学生に怒っても無理な話なので、赦してください。
多分、情報に疎かった50年前の小学生の私は、現在の幼稚園の年少さんぐらいのおつむしかなかったはずです。
ワクワク感の最たる原因は、学校が休みになることですが、この気持ちは社会人になっても変わりませんね。
最近の小学生はどうでしょう。
台風接近の当日、孫クンは布団にくるまって出てこうよとしません。
「台風が怖い😢」とぐずっているのですが、普段の孫クンを知っている家族にとっては、まったく説得力のない言い訳です。
少なくとも私の小学生時代のようなワクワク感は感じていないようです。
台風の直撃は免れたものの、通学路には強い風が吹き荒れていて、傘を差したら壊れそうです。
「壊れても良いように、幼稚園の時に使っていた古い傘を差していきなさい」と言われるや、何故か泣き出す孫クンです。
自分の持ち物には必ず名前をつけ魂を込めてしまう孫クンは、愛着のある持ち物が捨てられず自室に貯め込んでしまい、最後には、泣く泣く、捨てるものと残すものを仕分けるはめになります。
「壊れても良いように」との言葉に、古い傘と過ごした幼稚園での記憶がよみがえってきて涙する感受性の強い孫クンです。
付喪神という、小説や漫画の題材になる言葉があります。
長い年月、愛着を込めて使われてきたモノには魂が宿るってやつです。
この調子だと、いずれ孫クンのまわりは付喪神だらけになってしまうことでしょう。
但し、ネーミングセンスが絶望的な孫クンなので、傘だったら「カサ君」などというなんの捻りもない名前しか思いつきません。
そんなんじゃ、たとえ付喪神に昇格しても、すぐに鬼太郎に祓われるのがオチですね。
私の方は、東京出張から帰宅する日と台風の直撃が重なりました。
前日から次々とフライトの欠航が決まり、否が応でも緊張感が高まります。
帰宅当日は、まだ電車が動いている間に空港まで移動し、朝から待機することにしました。
最近、実生活でAIに頼ることが多くなりましたが、先ずは、ホテルから駅まで雨に濡れずに移動するコースを尋ねます。
地下道を通る道順を丁寧に説明してくれたのですが、AIって基本的に膨大なデータから答えを導いているわけですから、そもそも地下道を通って駅まで行ったことのある人のデータがなければ成立しないわけです。
世の中の全ての人々が、AIに頼りきりになって質問するだけになった時、誰が実際に体を張って、濡れずに駅まで行く方法をインプットしてくれるのでしょうか。
「命を守る行動を・・・」のおかげで、東京都内は閑散としており、日頃は座れない山手線も乗客はまばらです。
空港のベンチでは、ワンブロックを占領したインバウンド客が、仮眠をとって旅の疲れを癒しています。
緊急事態はコレだよね、とニュースでよく見る光景を目の当たりに、徐々に気持ちも高ぶってきます。
いつもは混雑している空港内のレストランも、昼時にも関わらずお客の姿はまばらです。
人混みが嫌いな私としては、全てのレストランが空いている異常な事態が、楽しくてしようがありません。
今日は好きな店に入れるぞ!と意気込んで空港中を歩き回ってはみたものの、結局いつものラーメン屋に落ち着いてしまう、冒険のできないイダログです。
もし今日の便に搭乗できなかったら、先ずは今日の宿を探さなきゃとか、会社に緊急事態が発生したことを伝えなきゃとか、不謹慎ですがアドレナリンが噴出します。
結局、ジイサンになっても台風に興奮してしまうのは、まだ小学生並の精神状態のままだからでしょうか。
