マット・デイモン主演の「オデッセイ」をご覧になったことがある人は多いと思いますが、
本作は、その原作「火星の人」の原作者アンディ・ウィアーの最新長編です。
SFの基本を踏襲しながら、同時に娯楽性も兼ね備えており、
本作も映画化には打ってつけの面白さですが、
すでにライアン・ゴズリング主演で映画化が決まっているそうです。
物語の雰囲気も「火星の人」に似てなくもありません。
主人公が独りぼっちで宇宙に放り出されながらも、科学の知識を駆使し、
窮地を切り抜けていくという展開です。
ただ「火星の人」と大きく違うのは、そこに人類の滅亡や、異星人との遭遇が加わり、
物語が更にスケールアップしている点です。
もちろん、異星人が攻めてくるといったベタな設定ではありません。
しかし、ウィアーらしく、人類滅亡の原因や異星人の存在についても、
科学的な背景で物語っているため、荒唐無稽に陥ることなく、読者の知的好奇心を満足させてくれます。
しかも、ヒロイックな人間ドラマの味付けも忘れていません。
上下巻で648ページの長編ですが、科学に疎い私でも一気読みしてしまうほどの、
超一級品の娯楽小説です。