ファンダメンタルズ×テクニカル マーケティング / 木下勝寿

画像引用:Amazon

著者は、東証プライム上場の通販企業「北の達人コーポレーション」の社長であり、現役のマーケッターです。

本書の良いところは、いきなりWEBマーケティングに切り込まず、先ずは、リアルを中心とした従来のマーケティング手法(=ファンダメンタルズ)について解説し、マーケティングの全体像を押さえた後、そこに包含される、WEBマーケティング(=テクニカル)について解説している点です。

前半の「ファンダメンタルズ」では、「誰に」「何を」「どう」伝えるかというマーケティングの基本を、具体的にわかり易く解説してくれます。

「誰に」に関して一部引用すると、例えば、誰しも提案書の見栄えを良くするため詳細なペルソナ設定を行いがちですが、細かく設定すればするほど対象とする顧客と共通する要素が少なくなっていくため、より対象を絞り込んだ起点からの設定が必要である、といった具合です。

「何を」では、例えば、男女別の訴求軸の違いが述べられています。
男性は色を7色に分類するが、女性は29色に分類する、等々参考になります。

「どう」では、広告文章の作り方が解説されています。
①結論→「アッと驚く新製品が発売されました!」
②否定→「それって、〇〇社と同じようなもんじゃない?」
③肯定→「ところが〇〇な機能が違うんです!」
④自分の意見→「使ってみたら、こんな違いがありました」
⑤煽り→「限定〇〇個までです!」
よくBS放送のCMで見るパターンですね。

以上、一例ですが、やや実務寄りの内容なので、比較的小規模なビジネスが対象になるかもしれませんが、中規模以上のビジネスにおいても、示唆に富んだ内容が多く見られます。

後半の「テクニカル」のパートは、著者自身のビジネスに沿った内容のため、さらに実務的で、狭い範囲の話になっている感はあります。

TVショッピングのように、特定の商品を広告に掲載し、そこから受注につながる動線がある程度ハッキリしているビジネスであれば、広告宣伝費に対する効果も検証し易いのでしょうが、中規模以上のビジネスでは必ずしも当てはまらないかもしれません。

一方、広告宣伝費の費用対効果の検証は永遠のテーマのようなものでありながら、曖昧になりがちです。
最終的には、売上高が増えたか否かでしか測定できないんですが、把握しようとする不断の努力はあきらめるべきではありません。
金額の多寡に関わらず、全ての商品に対する広告宣伝の費用対効果を把握しようとする著者の姿勢は、大いに見習うべきです。

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