サブタイトルが、作品の内容をほぼ説明してしまっています。
想像どおりの映画ですが、本作がフィクションだったら、それほど感動を誘わなかったかもしれませんが、実話の映画化です。
無認可自閉症ケア施設の運営者をヴァンサン・カッセルが演じています。
正規の施設が受け入れないような手を焼く障碍者であっても、当局の規制を無視しながら、無制限に受け入れるような気骨のある男です。
もう一人の主役は、ドロップアプトした若者の更生施設の運営者で、更生プログラムの一環として、ヴァンサン・カッセルの施設に若者を派遣しています。
二人とも強面のオヤジですが、とりわけ他の映画では凶暴な役柄が多いヴァンサン・カッセルが、本作では障碍者を思いやる優しく武骨な男を見事に演じています。
障碍者のことしか頭になく、女性にも不器用なヴァンサン・カッセルは、いつものキャラとの落差が、余計にその魅力を際立たせています。
当事者たちにとっては大変な日常の繰り返しなんですが、常に明るさを失わず、ほんの少しの前進を喜び合える仲間たちの姿が感動的な良作です。