2007年制作、タイカ・ワイティティの初長編監督作品です。
ヘンテコな作品ですが、今や超売れっ子に成長した彼の、才能の片鱗が伺えます。
物語のベースはラブコメなんですが、主人公の二人を始めとして、登場人物のほとんどが”濃く”て”イタイ”人たちばかりで固められています。
悪気はないのに社会に適応できない人たちの、恋愛模様だったり、家族愛だったり、友情だったり、なんですが、物語の根底には、ほんのりとした温もりが宿っています。
韓流みたいに、魅力的な美男美女がイタイ役を演じているわけではなく、ダサい男女が、その印象のままイタイ役を演じているので、おそらく感情移入できない人も多いと思います。
フツーの人々と彼らを隔てるものは何なんでしょうか。
空気を読んで、周囲と上手く合わせて生きることがフツーなのか、それができない不器用な人は、「多様性」の尊重とか言われながらも、結局、現実の社会では疎外されてしまうんですよね。
「多様性」とか「みんな違ってみんな良い」の偽善に対する、皮肉なユーモアも感じられますが、一方で、変人やオタクたちに向けられた眼差しは優しく、見終わった後に優しい余韻を残してくれます。