「atomos(アトモス)」の創業者本明秀文氏の自伝的ビジネス書です。
本明氏の生い立ちや、起業してから事業をフット・ロッカーに売却するまでの活動が綴られています。
スニーカーが好きで好きでたまらない本明氏と彼を囲む家族やスニーカーマニアの仲間たちとの交流が、氏を成功に導いてきたことがわかります。
成功のメソッドは、マーケティング戦略や経営戦略よりもむしろ、もっとアナログな、仲間との絆や商いの基本から生まれてきたようです。
もちろん、氏にノウハウがなかったわけではなく、サラリーマン時代に培った貿易業務の知識も事業に活かされていますが、それ以上に大事なのは、多くの人と出会い、生きた情報を誰よりも早く入手し、常に自分の足でお客に喜んでもらえる商品を世界中駆け巡って手に入れてきた、いわゆるスニーカーの目利きとしての能力が成功のベースにあるようです。
仕組みが出来上がった大企業で、システムやマニュアルに乗っかって仕事をするのではなく、すべてを自分の手で作り上げ、自分の嗅覚で商売を作り上げてきた本明氏の生き様を見るにつけ、仕事の仕組みができあがった企業で働く自分が、とてもひ弱に感じられてしまいます。