涙するまで、生きる

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気恥ずかしくなるような邦題ですが、原題は「loin des hommes」で、カミュ原作の短編(邦題は「客」)と同じ題名です。
英語では「Far from men」と訳されていますが、いずれにしても真意がわかり難い原題です。

第二次大戦後の、フランスの植民地だった頃のアルジェリアが舞台です。
独立運動が激化する中、ヴィゴ・モーテンセン扮する、フランス軍の予備役兵は、山岳地帯で子どもたちを教えています。
物語は、教師が、殺人を犯した現地人をフランス軍の役所まで送り届ける話です。

私の本棚には原作が並んでいるので、おそらく10代の頃読んだはずなんですが、当時は、「カミュを読んでるオレって、なんてカッコいいんだろう」って言うだけの動機で読んだからか、内容はまったく覚えていませんでした。

映画と原作に、優劣はつけられませんが、同じプロットなのに、両者はおよそ異なる空気感を漂わせています。

映画では、護送中のエピソードが加えらたことにより、寡黙な原作よりも分かり易く、物語に広がりも感じられ、二人が抱える心の葛藤とお互いの心の触れ合いが、すんなりと心に沁みてきます。

日本人には馴染みのない、アルジェリアの乾いた大地が時折見せる美しい姿を、カメラは見事に捉えており、二人の俳優の優れた演技とともに、見るものの心を打ちます。

ヴィゴ・モーテンセンの名演は言うまでもありませんが、殺人犯役のレダ・カテブ(以前紹介した「スペシャルズ」では、更生施設の運営者役)も、良い味を出しています。

ネタバレになるので言いませんが、映画と原作とでは、決定的に異なる点があります。
カミュの不条理概念に反するような相違点ではないと思いますし、本作が素晴らしい作品であることには変わりありません。

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