sense 8

画像引用:Netflix

イダログのNetflixランキングでは、
これまで、ストレンジャー・シングス、クイーンズ・ギャンビット、ゴッドレス、
梨泰院クラス、悪霊狩猟団カウンターズ、といったところが上位にランクされていましたが、
現時点で、「sense 8」が首位になりました。

一気見を誘う中毒性はありませんので、
1エピソードずつ、じっくりと腰を据えて鑑賞しなければならず、
多少忍耐を強いられるかもしれません。

監督・脚本は、「マトリックス」のウォシャウスキー姉妹です。

タイトルからイメージされるように、8人の能力者が主人公なんですが、
ネアンデルタール人みたいに、現生人類(ホモ・サピエンス)とは異なる種
(劇中では、ホモ・センソリウムと名付けられています)が、
今も絶滅せず、隠れて生き続けているという設定になっています。

8人は、その異種人類なんですが、それぞれ違う国で暮らしながら、
意識や感覚を共有することができ、ある種の集合生命を構成しています。

例えば、アフリカに住む一人が危険な目に合うと、
韓国に住むカンフーの達人の意識と感覚が乗り移り、危機を脱するといった具合です。

当然、そんな特異な能力を持っている種が存在すると、
X-MENみたいに、現生人類対異種人類の闘争が起こるんですが、
本作でも、それがSFアクションとしてのメインストーリーになっています。

並行して、8人それぞれの物語が展開していきます。
女性蔑視、同性愛への偏見、貧困、犯罪、メンタル、といった、
現世に生きる普通の人間としての苦難が、
メインストーリーと並行し、丁寧に描かれていきます。

作品の根底には、多様性という大きなテーマが流れており、
人類と異種との戦いや、人類と異種との融和も、
広い意味での多様性の問題として扱われています。

8つの人間ドラマと1つのSFアクションが、
多様性というテーマを媒介して、同時進行していくところが本作の凄みです。

潤沢な予算と時間を与えられたウォシャウスキー姉妹は、
マトリックスのような娯楽性に、多様性の問題を重ね合わせ、
壮大な人間(異種なんですけど)賛歌を謳いあげています。

映像は劇場公開映画のように美しく、ロケも世界中で展開されており、
映像を眺めているだけでも感動します。
祝祭のシーンが多用されており、とりわけ美しく感動的です。

しかし、どちらかと言うとマニアックな作品のため、
採算面で、Netflixとの間に軋轢が生じたのも想像がつきます。
打ち切りの憂き目に会いながらも、何とか作品のクオリティーを守り抜き、
拡大版を織り込むことで、見事に完結させたウォシャウスキー姉妹はさすがです。

ラスト近くになると、作品の熱気が一気に盛り上がるんですが、
もはや、SFなのか、多様性を讃えるお祭りなのか、わからなくなります。
エンドロールからもスタッフとキャストの熱量が伝ってきますので、
最後まで目を逸らせません。

ただ一つの注意点は、セックスシーンが生々しすぎて、
子供の前では絶対見られないことです。
男女はもとより、男男、女女、が交わると、
8人全員が意識と感覚を共有するわけですから、
そりゃあもう大騒ぎで、思わず引いてしまうほどです。

ウォシャウスキー姉妹ならでは、と言ったところでしょうか。

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