こちらも佐藤究で、2015年の作品です。
父、母、兄の家族全員がシリアルキラーで、自らもシリアルキラーの女子高生が主人公です。
彼女の家で兄が惨殺され、母の行方が知れなくなり、主人公による犯人捜しが始まりますが、推理小説ではありません。
その設定自体がギミックで、真のテーマは殺人者の心理に肉薄するサイコスリーラーであり、純文学です。
「Ank」ほど娯楽性は強くなく、難解な描写が多いものの、決して退屈な作品ではありません。
正常と異常の境界を曖昧に感じさせる心理描写には、怖いものみたさも手伝いグイグイ引き込まれます。
おぞましくも、魅力的な作品です。