著者は、アマゾンジャパンで立ち上げから15年勤務した方だそうです。
250ページ程度で、わかり易く書かれていいますので手軽に読み終えられると思います。
ジェフ・ベゾスが、パワーポイントを使った会議資料を禁止しているという話は、
ネット上でよく知られていますが、
もう少し突っ込んで知ってみたくて本書を手に取ってみました。
そもそも不要な会議はできるだけやらない、というのが出発点になります。
そんな時間があったら、「ワン・オン・ワン」(部下との一対一の対話)の機会を増やしなさい
ということです。
コロナ禍でやめた会議は多いと思いますが、
やめても支障がないような会議は、コロナが収束しても復活の必要はないんです。
一番興味深い「パワーポイント禁止」についてですが、
資料はナレーティブ(文章形式)で作成するのが基本になっているそうです。
「その場で読んですぐに理解できる文章を書く」ことが求められています。
そのため、よく言われる事前の資料配布と内容把握は、アマゾンでは求められていません。
そこは会社によっても意見が分かれるところで、どちらが良いという問題でもありませんが、
逆張りの考えはユニークですね。
では何故パワーポイントがダメかと言うと、どうしても口頭による行間部分の説明が生じやすく、
人によって解釈が分かれてしまう、というのがベゾスの懸念のようです。
誰が読んでも同じ理解が共有されるには、わかりやすい文章で書きなさいということです。
当然、文章力が問われますから、そのスキルがない人は採用されません。
アニメーション効果のような下らない装飾に時間をかけるな、ということも言われています。
見てくれだけで内容のない資料はいらないというのがベゾスの考えです。
無駄が大嫌いみたいです。
資料は、2パターンだけ。A4で1枚か、収まり切れないような複雑な課題であれば、
A4で6枚、但しアペンディックスは何枚でも可。
もう一つ特徴的なのが、会議が始まると先ず資料を黙読する時間が設けられることです。
これにより説明の時間が省かれ、すぐに議論に入ることになります。
しかも、誰もが理解できる資料ですから、黙読し、理解し、賛同が得られれば、
議論がなく終わり、それが最も理想的な会議とも言われています。
これも面白いところですね。
疑問の余地が残るような資料は作らない、そんな提案はそもそも不完全だと言わんばかりです。
パワーポイントの話以外も参考になる手法が見られますが、
基本的に他の会議ノウハウ本で語られていることとダブルように思います。
要は、皆がわかっているけでどできていないことを、
ちゃんとできているのが一流企業の証なんでしょうね。