先日、Netflixにジェイク・ギレンホール主演のリメイク版がアップされましたが、
今回は、評価の高かったデンマーク映画の2018年オリジナル版についての感想です。
1時間28分という短い上映時間内に、とんでもない緊張感が凝縮されています。
TOMATOMETERも98%の高評価です。
不祥事のため緊急通報指令室のオペレーターに左遷された警察官のアスガーが主人公なんですが、
主要な登場人物の中で画面に姿を現すのは彼だけです。
元夫により誘拐された元妻からの通報を受けたアスガーが、
夫や妻や元同僚との通話を通して、事件の解決を図ろうと苦闘する話です。
通話だけを通して進行する斬新な手法のシチュエーション・サスペンスなんですが、
短い尺なのに、静謐な時間が長いのも特異な点です。
通話と通話の間の静けさが、逆に異常な緊張感を生み出しており、
見る者は、主人公アスガーを通して事件を疑似体験しているような錯覚に陥ります。
決して劇的なストーリーではないのに、妙に手に汗握ってしまうのは、
この疑似体験が影響しているようです。
アスガーが、誘拐された妻との通話を重ねるうちに、
事件の裏に隠されていた真実が明らかにされてくるんですが、
同時に、アスガーも自身の不祥事に絡む真実と向き合うことになります。
the guiltyという名詞は、”有罪”の意味だと思いますが、
この言葉は、事件とアスガーの両方に対して突きつけられています。
救いようのない物語なんですが、最後に微かな光が感じられます。