恋人同士のヘビメタユニットでドラムを叩く主人公が、
難聴により聴力を失ってからの心の旅路を描く作品です。
動画配信サービスのオリジナル作品は、Netflixばかりが注目されますが、
このAmazonオリジナル作品は、なかなかの良作です。
障碍がテーマではなく、障碍がきっかけで自分の世界が一変してしまった時、
人はどう生きていくべきかを問いかけてくる作品です。
一つの手がかりは、音です。
様々な音を聴き、音を発する生活の中で、
それを奪われると、否が応でも無音の自分自身と向き合わざるを得なくなります。
ヘビメタと無音という、対局の世界の対比が象徴的です。
聴覚障碍者のコミュニティーでの描写が大半ですが、
描かれるのは障碍者同士の関係性ではなく、あくまでも自分自身との対峙です。
最後は微かな救いが暗示されますが、
それが希望なのかあきらめなのかは解釈に迷います。
しかし、たとえあきらめであっても、
そこから再び希望が見えてくるならそれでも良いのかもしれません。