親子での推し活が増えている。その実態はいかなるものなのか。
AERAの引用記事がYahoo!ニュースに出ていましたが、まさか自分の身近でも同じような事が起こっているとは・・・。
少し前から、妻と娘と孫クンの会話から聞きなれない単語が漏れ聞こえてくるようになりました。
どうやら、どこかの高校(?)の話をしているようです。
平日休みの多い娘が、一人のお出かけを楽しみにしている様子。
「明日は絶対、○○君のグッズをゲットする」などと言っていますから、どうやら不倫ではなさそうです。
アイドルの押し活かな、と思ったら「ハイキュー!!アニメ10周年記念展」に出かけるとのこと。
三十路に入った一児の母が「ハイキュー!!」の推し活なんですって。
「鳥野高校の影山君がねぇ・・・」などと、時折意味不明な会話を耳にするにつけ、高校野球の話かな?娘は野球に興味があったっけ?などと不審に思ってたんですが、アニメの中のバレー部の高校生に夢中だったんです。
ところで、”ヌック”って言う言葉をご存知ですか?
最近の住宅用語なのかもしれませんが、家の中の余った空間を利用した、畳1.5畳程度のくつろぎスペースのことだそうです。
どうみても納戸か小売店のバックヤードにしか見えないんですが、娘にとっての小さな宇宙、一人で過ごす時間や昼寝の時は、納戸・・・じゃなくて、ヌックに籠っています。
婿君が家を建てた当初は、本来の目的で利用されていたんですが、最近は「押し活部屋」又は「ハイキュー!!部屋」に姿を変えており、壁一面がキャラクターたちで(しかも、きちんと高校別に分類され)埋め尽くされています。
「ハイキュー!!部屋」っていう言葉の響き自体、「尋問部屋」とか「監禁部屋」とかを連想させますが、壁一面に整然と配置されたカードやポスターを見るにつけ、ミステリードラマなんかでよく目にする、時効間近の難事件をプライベートで調査している執念の元鬼刑事の部屋みたいにも見えます。
気の毒なのは、孫クンです(と言っても、本人はいたって楽しそうですが・・・)。
大好きなママがまだ入手できていない、音駒高校の黒尾選手のカードをゲットするため、カード付お菓子を買ったものの、お目当ての黒尾君は現れず大泣きしています。
未だにアニメの「ハイキュー!!」を見ても、10分で退屈してしまう孫クンなのですが、どの高校にどの選手がいて、どのポジションなのかまで完全に把握しています。
孫クンは、決して「ハイキュー!!」の推し活ではなく、「ハイキュー!!」の推し活をしている”ママ”の推し活をしているので、切なくなりますね。
円満な結婚生活を送るため、娘夫婦が定期的に設定している「一人の日」(この日は子どもの面倒も家事も一切しません)なるものがあります。
娘の最近の過ごし方はハイキューの推し活なのですが、近頃は孫クンはもとより、母親(=私の妻)まで巻き込んでいます。
冒頭の記事が、実際に身近で起こっているんですよ。
娘と押し活イベントにでかけた妻の話を聞くと、老若男女を問わず、知らない人同士が「ハイキュー!!」でほのぼのと繋がっている様子は、ちょっとだけうらやましくもあります。
仕事を引退したら何かの推し活も良いかなとか思ってしまいますが、アニメも守備範囲に入っているイダログでも、さすがに推し活には躊躇します。
などと思っていたら・・・、来年のNHKの朝ドラのヒロインに高石あかりさんが決まったとのニュースが入ってきました。
高石さんと言えば「ベイビーわるきゅーれ」ですよ。
2年ほどまえから注目していた女優さんだったんですが、あんなマニアックな映画にでていた人が、いきなり表舞台に登場すると、推しが世間に認められたみたいでうれしくなってしまいます。
ちょっとだけ、推し活している人の気持ちがわかったイダログでした。