巨大地震により地下都市に取り残された女性を救うため、ドローン操縦者の主人公が苦闘する物語です。
主人公は、救えたかもしれない命を救えなかった幼い頃のトラウマに囚われており、被害にあった女性は、見えない、聞こえない、話せない障碍を持っています。
先ずは、ドローンを使った救出劇という設定が、今日的で斬新です。
加えて、意思の疎通が十分できない障碍者を、どうやって救出するかという設定もまた緊張感を生み出しています。
主人公のトラウマには、やや説教臭さも感じられますが、設定と展開の妙により、自然と物語に引き込まれます。
伏線の回収によるどんでん返しも感動を呼び、上質なディザスター小説として、サクサク読めて楽しめる佳作です。