負の一族

贔屓にしている選手やチームを、いざテレビで腰を落ち着けて応援しようとすると、必ずといって良いほど、贔屓の選手やチームが負けてしまうと言う経験をしたことのある人って、結構大勢いらっしゃるんじゃないでしょうか。

私もそんな負のパワーを発揮できる特殊能力を持った一族の一人です。
勝手に、”負の一族”と呼んでいます。

今回のパリオリンピック(字面だけだと、パラリンピックと読んでしまいそうになるのは私だけでしょうか。パリパラリンピックが始まると余計ややこしくなりますね)も、昨今の酷暑ですから、エアコンの効いた部屋でオリンピック観戦も良いかななどと思うものの、件の特殊能力が気になります。

今回も案の定、期待していた男子バレーの対ドイツ戦をネットでちらちら確認しながら、セットカウント2-1で、目圧倒的有利に進んでいた4セット目、そろそろワシの出番かなとばかりに、テレビの前に陣取ったら、まさかの逆転負け。
その後も、メダルが期待される競技で同じような被害が発生するのを見るにつけ、やっぱりワシは、陽の当たる場所には出てきてはいかんのじゃ、と悟りました。

もちろん、自分一人だけの負のパワーで試合を左右できるんだったら、むしろ正真正銘のスーパーヒーロー(ヴィランですね)になれるんでしょうが、そんなはずはありません。
私の勝手な想像なんですが、世界には、私のように負のパワーを備えた人間が、50%程度は存在していて、そんな一族の構成比が応援者の中にどの程度の割合で潜んでいるかで勝敗が決しているんじゃないか、というのが私の説です。

今回の男子バレーのドイツ戦では、ここまでくれば大丈夫と油断した、日本人の中の負の一族6千万人の一部が、一気に応援に参加した結果だと思っています。

私の説を裏付けるかのように、金メダル間違いなしと期待した選手がまさかの敗戦を喫した後、負の一族が一斉に応援から手を引いた結果、金メダルを逃した選手も敗者復活のメダルが獲れたり、後半に向けてメダルラッシュが勢いを増したりしたのは、間違いありません。

そんな負のパワーを効果的に世のため人のために役立てる方法が一つだけあります。

応援しないことなんですね。
ネットで結果だけ確認すればいいってことなんです。
大谷さんのホームランも、決して衛星放送なんかでリアルに応援してはいけません。

そこまでわかっていても、どうしても気になる試合もあるんです。
仕事の関係で、時折顔を合わせる選手の金メダルがかかった試合は、まったく無視するわけにはいきません。
そこで思いついたのが、負のパワーの応用編です。

相手選手を応援すれば良いんです。
ただし、まったく縁もゆかりもない相手選手は応援のしようがありません。
負のパワーは、気持ちが入っいてこそです。
期待が裏切られたことによる失望感こそが負のパワーの源なわけですから、負のパワーには自己犠牲が伴っていないと効果が発揮できません。
(ちょっと何言ってるかわからなくなりました)

なので、相手国の選手を気持ちを込めて応援するためには、相手選手の情報が必要です。
中央アジアの国なんかだと、似たような国名も多く、場所さえ定かではないため、なかなかイメージが湧きません。
この度の贔屓の選手の決勝の相手は、中国の選手でした。
ネットで調べてみると、少数民族出身だそうです。
これはきっと、少数民族ならではの苦労話があるかな、などと期待したんですが、同選手の属する少数民族は漢民族に次ぐ多数派で、しかも、幼少から英才教育を受けてきた、いわゆるスポーツエリートのようです。
そうなると、なかなか気持ちも入らないので、結局、決勝戦は見ない、という判断にいたりましたが、私の負のパワーが発動されなかったためか、贔屓の選手はめでたく金メダルを獲得できました。

もうすぐ、パリパラリンピックです。
心の中では小田凱人選手を応援しているんですが、ここはひとつ心を鬼にして無視を決め込み、私が知らないうちに金メダルを獲得してもらうことにしましょう。

我々負の一族は、決して皆と一緒にリアルタイムで贔屓の選手の勝利を祝うことはできませんが、人知れず日本のメダルに貢献していることを書き残しておきたいと思います。

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