良い戦略、悪い戦略 / リチャード・P・ルメルト

画像引用:Amazon

“戦略”という、誰もが口にしたがるが、曖昧な言葉に、明確な輪郭を与えるビジネス書です。

第一章から十八章まで、実例を挟みながら筋道立てて解説されています。
各章毎にポイントを列記する方が分かり易いのですが、
著作権を侵害してもいけないので、全体の要約だけにとどめます。

戦略とは、

将来こうありたいという姿を描いたビジョンとも違うし、「常に前向きに」などといった精神論とも違います。

事前準備→予測→設計のプロセスがしっかりと組み立てられていて、
事前準備では、市場、競合の有無と戦力、自社の強み、トレンド、といった現状分析に基づき、
今後、市場がどう動くか、競合がどう動くかを予測していきます。

必ずしも科学的な根拠に基づく予測が必要とされるわけではなく、”良い仮説”を立てることが求められます。
換言すると、「こうすればうまくいくに違いない」という仮説を立てることが戦略とも言えます。

とりわけ、設計のプロセスが一番重要です。
コーディネートされた行動が、システムによって強制され、
戦略が嫌でも実行されるように仕向けることが大事だと述べられています。

私が最も啓発されたのは、”近い目標”を設定すべきという点でした。

コロナ禍の渦中にあるからこその金言だと思いますが、
絶えず変化する不透明な状況では、むしろ近い戦略目標、実現可能な目標を設定し、
足場を固めることによって、次に進むべき選択肢の幅を広げるべきだと述べられています。

あたかも梯子を一段ずつ昇っていくように、近い目標を達成しながら、次の選択肢を選んでいく、
そんな臨機応変さや柔軟さが今の時代には求められる、とも言い換えられると思います。

数か月先のことさえ不透明な経営環境では、闇雲に中期計画を叫ぶよりも、
より現実的な戦略の在り方ではないかと思います。

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