
デンマークの作家ユッシ・エーズラ・オールスンによる同シリーズは、2011年に刊行された「特捜部Q−檻の中の女−」から始まり、2023年の最新作「特捜部Q−カールの罪状−」まで、9作が刊行されました。
長く愛読していた作品なのですが、今回初めて紹介するのには理由があります。
本作は、シリーズ当初から10作で完結することが決まっており、いよいよ完結編を待つまでになったからです。
コペンハーゲン警察のはみだし刑事カールと、普段はコミカルながら壮絶な過去を背負っているシリア系の変人アサドの二人が、コールドケースを扱う新部署に配属されたところからシリーズが始まります。
シリーズの途中からは、優れた洞察力をも持ちながら不安定なメンタルに苦闘するローセが加わります。
シリーズ中盤までは、各作品独立したエピソードが展開され、未解決事件を解決する3人ですが、やがてそれぞれが抱える過去が徐々に明らかになり、ファイナル目前の最新作では、主人公カールに過去の悲劇的な事件が冤罪として降りかかってきます。
3人の個性も魅力的ですが、難事件の数々は、社会的な問題を孕んだ事件ばかりで、謎解きだけにとどまらず、人間ドラマとしても感動を呼び起こす傑作揃いです。
おそらく来年には完結編が刊行されると思いますので、北欧ミステリーに関心がある方は、是非1作目からチャレンジし、完結編に備えておくことをお勧めします。
唯一の難点は、作者名を見てわかるとおり、デンマーク人の名前が覚えにくいことぐらいでしょうか。
ベングストンって誰だったっけ?エングストラムって誰?とか、何度か前のページを行ったり来たりしたイダログでした。