製造業で働いているので、朝のラジオ体操は欠かせません。
♪腕を前から上にあげて、背伸びの運動~♪って始まった途端、電話がかかってきて、途中でまた体操に戻ろとすると、手足をどう動かしていいかわからずプチパニックに陥ることってありませんか。
ラジオ体操って、最初から音楽に合わせ無意識に手足を動かさないと、決まった動作ができないんですね。
一方で、脳科学では『手や指を動かすときに、動かそうと思った時よりも約0.5秒くらい前から脳は動かすことを決めている。つまり、その人が動かそうと思う以前に動かすことは決まっている』などとも言われています。
毎朝、机の抽斗からノートパソコンを引っ張り出し、机の上に置き、電源を入れる、その一連の動作の中で、パソコンにパスワードを入力するんですが、何かの拍子に一連の動作が途切れ、あらためてパスワードだけ入力しようとすると、あれ、何だったっけ?思い出せない自分に焦ることがあります。
まさか認知症か?などと年相応の懸念が頭をもたげますが、これも一連の動作の中でパスワードを入力しているので、指先が勝手に動いてくれているからなんでしょうか。
脳から命令が行くんじゃなくて、手足が動きを決めている証拠です。
記憶には、短期記憶、長期記憶、と言う分類に加え、意味記憶、エピソード記憶、手続き記憶と言った分類があるようです。
ラジオ体操は長期記憶の分類される手続き記憶のようなものかもしれませんが、脳が命令しなくても、手足が勝ってに動いているとも言えます。
ラジオ体操って、子どもの頃から何十年も続けているのに、体操の歌を聞きながら、一連の動きをこなしていかないと、スムースに手足を動かすことができないのって、どういうことなんでしょうか。
まるで、ラジオ体操の歌に操られているみたいです。それとも、ラジオ体操の歌が記憶を引きだしてくれているのでしょうか。
マニュアル車を運転しなくなって30年以上経ちますが、手続き記憶が残っているかどうか自信がありません。
30歳の頃、オートバイを一度引退し、20年経って教習所で大型免許を取り直したんですが、確かに少し運転しているうちに勘が戻ってきたものの、20代の頃苦手だったスラローム走行は、20年たってもやっぱり下手くそなままでした。
手続き記憶で自然と体が動いても、もともと下手だったことが上手になっていることはありません。
スキーも滑らなくなって30年以上経ちますが、滑っていた当時も決して上手ではありませんでした。
もしかしたら、手続き記憶で体が動き出した途端、美しいパラレルターンができるようになっていないかな、などと期待しますが、絶対そんなことはないはずです。
口では「いやー、30年も滑らなかったから忘れちゃったよ」などと言い訳するとは思いますが。
毎年少なくなり、ついに今年は数枚程度になってしまった年賀状ですが、それでもその数枚のために、年賀状ソフトを使わなければなりません。
一年に一回だと、手続き記憶といえるほど長期記憶として定着していません。
毎年一から思い出すのに苦労し、いっそのこと手書きにした方が早いんじゃないか、などと思いますが、高齢者なのに子どもみたいな字しか書けないことも自覚していいるので、結局、時間をかけて手続き記憶を呼び覚ますことになります。