2002年に制作された、SABU監督、寺島進主演の日本映画です。
(SABU監督の作品は、「Mr.Long/ミスター・ロン」しか見たことありませんが、こちらも味のある作品でした)
寺島さんが主役を演じた映画は、「踊る大捜査線」のスピンオフ以外記憶にありませんが(違ってたらゴメンなさい)、
売れ始めてからは、”恐そうだけど、実はイイ人”という役柄に縛られ過ぎているようにも思えます。
本作は、そのような先入観が植えつけられる以前の、寺島進本来の魅力を引き出している作品だと思います。
また、レビューでの評価が二分されているように、人によって好き嫌いが両極端に分かれる作品でもあります。
寺島進が勤める工場が突然閉鎖された朝に始まり、家族が待つ家に帰り着くまでが描かれます。
彼が、歩いて家に帰り着くまでの道のりを縦糸に、
その間に出会った人々の生と死を横糸に、物語は編まれていきますが、
人々の生と死のエピソードは、彼が生きる世界を凝縮した寓話として描かれているようです。
最後のシーンで、寓話によってお膳立てされた本作のテーマが見えてきます。
やや教訓めいていますが、他の映画ではお目にかかったことのない演出には、
無条件で、面白い!と感心してしまいました。
野心的で、風変りで、日本映画らしい叙情性を湛えた、ロードムービーの佳作と思います。