パンが大好きで、週末の昼はほとんどパンとコーヒーなんですが、
ゴマで覆われたバンズを食べるたびに食品ロスに思いを馳せます。
食べ終わった後、お皿やランチョンマットを見ると、
こぼれたゴマが辺り一面に散らばっていますが、
彼らは基本的に台所の三角コーナーに消えていきます。
彼らをきれいに拾い上げ、
ジャリジャリ言わせながら食べる人は、まずいないと思います。
なにせゴマは主役ではありませんから。
わき役か、もしかしたらエキストラかもしれませんので、
ゴマで〆る人なんていないと思います。
“薬味”とか渋い名前で呼ばれ、
小皿に入れられて出てくることがあるのを見ても、
主役の引き立て役なのがわかります。
結局、大勢のゴマ達は、空しくゴミになっていく運命なんですね。
(ピクサーにアニメ化を提案してみようかと思っています)
もちろんゴマで和えてあると、メインの料理と一緒にお腹に収まるんですが、
ちょっと待て、ゴマをちゃんと噛み砕いたっけ、と思い起こしてみると、
ゴマの一粒一粒を噛んで味わった記憶はあまりありません。
食後2、3時間経って、歯の間から出てきたやつを誰にも気づかれないように、
そっと噛み砕くことがあるぐらいでしょうか。
その瞬間だけが、ゴマをじっくり味わえる貴重な機会です。
ゴマは噛み砕かない限り栄養分が消化されないというのが一般的な説のようです。
原型のままお腹に入っても、原型のままウ〇コになって出てくるんだそうです。
(やっぱり、ピクサーはあきらめます)
ただ、別の説もあって、ゴマも炒られていると種皮がすでに壊れているので、
お腹に収まっても栄養は吸収されやすくなっていると言う人もいますが、
結局、なま<いり<すり<ねり、の順番で吸収力が高まるのは間違いなさそうです。
と言うわけで彼らはの一生は、食材として使用されるところまでは良いんですが、
その後は、口に入らず生ごみに出される者が60%、
口に入っても噛み砕かれずにウ〇コとともに汚水処理場に向かう者が30%、
残りの10%が、かろうじて人類の繁栄に貢献できるという悲しい人生を歩んでいます。
(※数値は、全てでたらめです)
この現状をなんとか打開し、見えない食品ロスを解決できないものかと、
先ずは、ゴマの真実を知るところから始めてみました。
ネットで探っていると、スーパーのゴマの棚でよく見かける、
「カタギ食品株式会社」のHPが検索上位で目につきました。
何気に”タカギ”食品と思いこんでいましたが、
あらためてよく見ると”カタギ”だったんですね。
なんか、足を洗ってまじめやってます、みたいな感じの会社名ですが、
会社情報のページを開くと、
「明日に向かって、開けゴマ!」という力強い言葉から始まり、
「『胡麻をする』『胡麻かす』といったことを嫌う経営方針」が掲げられ、
「『たかが胡麻、されど胡麻』の初志を貫く」で締めくくられていて、
思わず胸が熱くなります。
他にも、200件以上のゴマレシピや、世界中のゴマの原産地の話題等、
ゴマにまつわるあらゆる情報が網羅されていて、
ゴママニア(そんな人周りにいます?)が見たら、
涙を流して喜びそうな、ゴマ愛に溢れたHPです。
たぶん、社員の皆さんは四六時中ゴマのことしか考えていないと思いますから、
自分の家の食卓にゴマ料理が並んでいないと、
テーブルをひっくり返してしまいそうな熱い人達ばかりに違いありません。
サラダには絶対ゴマドレッシングしかかけないはずです。
なんなら、いりごまとすりゴマを振りかけた上から、
ゴマドレッシングをかけていらっしゃるかもしれません。
いつも”すりゴマ”をスーツの内ポケットに潜ませておいて、
外食や宴会の時には、どんな料理にもふりかけて、
たちどころにゴマ風味に変えてしまうんじゃないでしょうか。
そんな、まじめな会社なので、
ゴマが本来の使命を全うできず、生ごみの袋や、排水口に消えていくのを
黙って見逃すことなんかできるはずがありません。
きっといつかは解決策を見つけ、提案してくれることでしょうから、
私が自分で食品ロス問題を解決するのはあきらめることにします。
それまでは、できるだけ皿にこぼれ落ちたゴマを助け上げ、
ジャリジャリ嚙み砕きながら”すりゴマ”に変えてあげようかと思っています。