図書館の魔女 第一巻 / 高田大介

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先ずは、シリーズの第一作です。
「十二国記」を彷彿とさせるような架空の世界が舞台です。
ファンタジー、ミステリー、戦記などが入り混じっている上に、他に類を見ないユニークな特徴を備えています。

タイトルのとおり、物語の舞台となる国では、知識の集積である図書館が国家戦略の中枢を担っているという設定がユニークです。
そして、図書館を統べる長は、並外れた知識と推理力を持ち、畏敬の念とともに”魔女”と呼ばれる、Sっ気の強い少女マツリカです。
人並み外れた分析能力と戦略立案能力を持ちながらも言葉を発することができず、手話でコミュニケーションをとるマツリカと、彼女に仕えることになった謎多き手話通訳の少年キリヒトを軸に物語は展開します。

国家間の抗争や国内の派閥争いなど陰謀渦巻く王国で、図書館の魔女と呼ばれる少女と通訳の少年、有能な二人の司書が陰謀に立ち向かう、先ずは導入部が語られる第一巻です。
一見ラノベとして扱われそうなテーマですが、文字、言語、会話といったコミュニケーションの本質に対する深い洞察も展開され、本書をユニークで格調の高い作品たらしめています。

随所にマニアックな洞察が展開されるため、血沸き肉躍る冒険譚ばかりを期待すると、ややじれったさを感じる場面もあるかもしれません。
それでも飽きずに読み進められるのは、マツリカをはじめとした登場人物たちのキャラクターが魅力を放っているからでもあります。
(「葬送のフリーレン」の)フリーレンや(「薬屋のひとりごと」の)猫猫を更にシニカルしたような、それでいて可愛げのある少女マツリカと、鬼神のような能力を秘めた純朴な少年キリヒトの交流が、切なくも瑞々しく心を揺さぶります。

第一巻は、キリヒトがマツリカをはじめとした図書館の面々と出会い、絆を深めていく導入編ですので、大きな展開は見られませんが、徐々に巨大な陰謀が動き出し、(三巻まで読みましたが)マツリカの知略とキリヒトの秘めた力が両輪となって回りだすと、一気に物語に引き込まれてしまう傑作です。

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