1時間29分のこじんまりした映画だなと思ったら、
2012年のロンドンオリンピックの際制作されたBBCのテレビ映画でした。
Amazonプライムは、目利きです。
ハリウッド映画のような、ドラマティックな大作ではありませんが、良心的な佳作です。
パラリンピックの発祥を描く実話で、
ナチスの迫害を逃れてイギリスにわたってきた実在のユダヤ系ドイツ人医師が主人公です。
戦争で脊髄を損傷した傷病兵を治療する過程で、
医師の務めは、障碍者を大事に守ってやることではなく、
時に厳しい姿勢で、彼らを社会に復帰させることだと考え、
最初は患者本人や周囲の抵抗に会いながらも、やがて周囲も巻き込むことで、
障碍者による競技大会を開催するまでを描きます。
主人公はヒーロー然としておらず、普通のオジサンなのですが、
それがむしろ彼の反骨精神をより魅力的で真実味を帯びたものにしています。
コロナ禍で、オリンピックというシステムの醜い面を見せつけられた今だからこそ、
パラ発祥の思いや、スポーツ本来の純粋な精神が、より強く心に響いてきます。