略称FDAと呼ばれる、静岡に本拠を持つ鈴与グループの航空会社について語ります。
地方路線中心なので、私のように福岡に住んでいると、直接地方に飛行機で出張する機会がないかぎり縁のない航空会社なのですが、私のお気に入りです。
静岡を拠点とした、地元愛の強い航空会社ということもあり、心なしか暖かみが感じられる点も気に入っています。
ひいき目かもしれませんが、カウンターの対応も大手より心がこもっているような気がします。
基本福岡発で利用しているので、JALとの共同運航便なのですが 自動チェックインはできず、必ずカウンター寄って紙のチケットを発行してもらいます。
このアナログ感が良かったのですが、最近はカウンターの前に自動チェックイン機が設置され、係員さんと会話しながらチェックインする楽しみがなくなりつつあるのが残念です。
機材は大手ではお目にかかれないブラジルのエンブラエル社製です。
ボーイングやエアバスじゃなくて大丈夫かな、などと最初は不安でしたが、意外と乗り心地が良いので、今では気に入っています。
全席エコノミーなので、JAL便に搭乗し、エコノミー席に向かう途中のように、ファーストクラスに乗っている偉そうな(に見える。偏見ですゴメンさない)若造…、じゃなくて若い方を横目で見ながら、なんでこんな若造…、じゃなくて若い方がファーストクラスに乗れるんだよ(怒!)、と嫉妬する必要もありません。
天井もFDAの特別仕様らしく、大型機と同程度のゆとりがあります。
特に気に入っているのが、座席幅が大型機のエコノミーよりも数センチ広い点です。それだけでも、ゆったり感が全然違うのですよ。
そして、数ある国内路線の中でFDA唯一無二のサービスが、飲み物と一緒にお菓子がでてくる点です。
シャトレーゼ(山梨)の梨恵夢、コモ(静岡)のクロワッサン、青柳総本家(名古屋)のういろうなど、地元にまつわるお菓子ばかりです。
ちなみに、コーヒーも静岡のロースター、緑茶ももちろん静岡茶です。
お菓子ぐらいと言われそうですが、そのささやかな心遣いが、機内といいう不安な空間に安らぎをもたらすのですよ。
キャンプ場で自炊したカレーや、落ち葉を燃やす時の焼き芋や、真冬の販売応援の休憩時間に買うジョージアのホット缶や、置かれた環境によってチープな食べ物でもご馳走に感じますものね。
ちなみに、私は子どものころから”ういろう”が大好きなのですが、”ういろう”って、好き好んで食べる人にはあまりお目にかかったことがありません。
お土産需要以外で食べてる人がいたら、一度じっくり”ういろう”の魅力について語り合ってみたいものです。
シャトレーゼの梨恵夢は30年以上続くベストセラーで、一つ60円ということもあり、”さほど特別ではない”お客さんへのお茶菓子にはもってこいです。アルミホイルにくるまったやつですね。
“梨”恵夢というネーミングから、長い間、梨のペーストが入っているものと思い込んでいたのですが、本社がある山梨の”梨”だったんですね。
飛行機の座席以外で食べるときは、アルミホイルに張り付いた生地の薄い膜まで、金箔職人さながらに丁寧にはがして食べるんですが、飛行機の中では細かい作業は困難なのであきらめざるを得ません。
機内放送も、FDAならではのアットホームさです。
先日の便では、先ず副機長が露払いを務めていました。
おそらく機長から「そろそろ、君も機内放送をやってみなよ」とか言われ、初挑戦といった感じです。
のっけから「機は、時速500キロ(実際は900キロぐらいだそうですね)で順調に・・・」と、ちょっと頑張ればF1マシンでも追いつきそうな速度への言い間違いからスタートしたのが運の尽き。
最初から最後まで”かみ”続けるという、典型的なビギナーらしさを見せつけてくれました。
一方で、FDA自慢の定時運行率ナンバー1についても触れねばならず、定時運行率とは何ぞやを、時間をかけ、”かみかみ”で説明してくれるものですから、聞いているこちらのほうが緊張で体が強張ってしまいます。
その後、梨恵夢を食べ終え乗客の小腹が落ち着いたころ、おもむろに機長の登場です。
「副操縦士クン、次はボクがやるから聞いててごらん」とばかりに、澱みなくご挨拶が始まります。
続いて「それでは機内販売について、本日は馬場製菓の茶飴についてお話します」と地元ネタに舵を切ります。
「風味豊かな静岡産茶葉を使った手作り飴です」の後、「実は、私の娘もこの飴が大好きでして」と、一気に高度を下げ、乗客との距離を縮めてくるところがベテランの味です。
「娘は、飛行機で耳がツーンとなったとき、いつもこの飴をもらって治しています💛」と家族愛もアピール。
機長さんなので家族優待とかありそうですが、「えー、今度の休みもまたパパのところの飛行機に乗らなきゃいけないの?あたし、〇〇ちゃんと、SnowManのライブなんだけど!」と、パパの機内放送のネタにされるのを迷惑に思う時がきっときますって。
