著者は、コカ・コーラの元社長兼COOだった人です。
文庫で200ページちょっとで、表題どおり10の原則に分かれていますので、時間がある時に一法則ずつ読んでみても良いと思います。
事業で勝利する方法について講演で話すよう求められた著者が、
「話せるのは、どういう方法をとれば負けるかということだけだ」
と答えて引き受けた講演内容を編纂したものです。
目次だけでおおよその内容がイメージできてしまいますが、
法則1 リスクをとるのを止める
法則2 柔軟性をなくす
法則3 部下を遠ざける
法則4 自分は無謬だと考える
法則5 反則すれすれのところで戦う
法則6 考えるのに時間を使わない
法則7 専門家と外部コンサルタントを全面的に信頼する
法則8 官僚組織を愛する
法則9 一貫性のないメッセージを送る
法則10 将来を恐れる
法則11(おまけ) 仕事への熱意、人生への熱意を失う
どれも当たり前と言えば、当たり前の内容ですが、当事者の立場に立ってしまうと、見失いがちなことばかりです。(自分の経験を踏まえ身につまされるのは、法則7です)
各法則の説明の途中に、著名人の格言・名言が効果的に挿入されています。
“おまけ”と称する法則11「仕事への熱意、人生への熱意を失う」には、
「分別のある人は世界に自分を合わせようとする。分別のない人は世界を自分に合わせようとする。
だから、進歩はすべて分別のない人のお陰だ」(バーナード・ショー)
が添えられています。味わい深い格言です。
“おまけ”ながら「仕事への熱意、人生への熱意を失う」が一番重要な法則かもしれません。
そこでは、顧客、ブランド、同僚との感情的な繋がりを確立することが重要と説かれています。
顧客であれブランドであれ同僚であれ、自分の仕事の結果が、周囲の幸福に繋がることを自覚し、最善を尽くすことが大事だと述べられています。
また、市場セグメントなどは抽象的な概念に過ぎず、実際にいるのは人であり、お客一人ひとりを思う浮かべ、喜んでもらえる製品、ブランドを提供することこそが、仕事への熱意や人生への熱意に繋がるとも述べられています。