筒井康隆の原作を読んだ方もいらっしゃるかもしれませんが、若くしてこの世を去った今敏監督による、2006年のアニメ映画です。(Netflixでの見放題は既に終了してますので悪しからず)
他人の夢に入り込んでセラピーを行う主人公のパプリカが、同じ技術を悪用する敵と、夢と現実を行き来しながら戦う物語です。
クリストファー・ノーラン監督の「インセプション」を見た時、その発想や映像表現に驚かされたものですが、その4年前に作られた本作を先に知っていたなら、「インセプション」への評価は多少霞んでいたことでしょう。
パクリ論争については触れませんが、かたや莫大な予算をつぎ込んだハリウッド大作ですが、二次元による映像表現は決してノーラン作品に劣ることはなく、夢と現実の不穏な交錯と、美術作品のように美しい映像世界は、「インセプション」を凌ぐほどです。
さらに素晴らしいのが音楽(「Parade」/平沢進)です。
狂気と優しさがない交ぜになったような不思議な旋律にシュールな歌詞が乗っかり、聴く者を不穏にさせながらも、強い中毒性を発揮しています。
物語と映像と音楽が三位一体となり、唯一無二の世界観を作り上げている傑作です。