パウエル リーダーシップの法則 / オーレン・ハラーリ

画像引用:Amazon

タイトルの「パウエル」とは、アフリカ系アメリカ人初の統合参謀本部議長としてパナマ侵攻や湾岸戦争を指揮し、その後、同じくアフリカ系アメリカ人初の国務長官として、就任した年に同時多発テロを経験したコリン・パウエル氏のことです。

共和党員でありながら、リベラルにも一定の理解を示し、オバマ氏を支持したこともあるバランスのとれた人物です。
かつてのアメリカには、まともな人間がいたことを再確認したくなり、2002年に上梓された本書をあらためて手に取りましたが、タイトルのとおり、リーダーシップについての普遍的なあり方を示唆してくれる良書です(絶版のようなので、私は古書を購入)。

書かれているとこは、それほど奇をてらった内容ではありません。
各章の末尾に、”パウエルの法則”と題して、その章のまとめが付されているので、いくつか例を挙げると、

・実績を上げた者が上げなかった者よりも満足できるようにせよ
・誰も怒るものがいなかったら、自分のやり方が甘いのかもしれないと疑ってみろ
・縄張り争いはコミュニケーションの敵と考えよ
・一般に流布している考え方に挑戦せよ
・果敢にリスクをおかす人を罰する組織には投資するな
・組織の攪乱者たれ
・少なくとも自分の時間の半分は人のことに費やせ
・人は役職に関係なくパートナーとして扱え
・”分析ばかりしていて何もできない状態”に陥るのを避けよ
・人材は才能と価値観で選び、履歴書では選ぶな(履歴書は過去の実績にすぎない)
・楽観主義を座右の銘とせよ
・バランスのとれた楽しい職場づくりを最優先事項とせよ
・引き際をわきまえよ

などなど、字面だけ見ると、そんなことわかっているよ、と言いたくなるような当たり前の言葉ばかりですが、その法則に至った実戦経験でのエピソードが語られることで、言葉が重みをもちます。

バランスがとれたパウエル氏であっても、イラクの大量破壊兵器疑惑に関しては判断ミスもありました。
それでもなお、時の政権におもねることなく、自らの考えをつらぬいた気骨ある軍人が、かつては当たり前のように存在しており、自由と平等の名のもと、世界秩序の維持に奔走していた、青臭いながら正義感に溢れたアメリカがあったとこを思い出させてくれる良書です。

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