トム・クルーズ主演で「アウトロー」「ジャック・リーチャー NEVER GO BACK」が映画化されていますが、
本作はAmazonオリジナルによる、そのドラマ版です。
ストレート過ぎて恥ずかしくなるようなサブタイトルがついていますが、
映画版とはほぼ別物の印象を湛えながら、数段面白い作品に仕上がっています。
話の展開は、映画版同様、流れ者のジャック・リーチャーが偶然事件に巻き込まれ、
最初は周囲から白い目で見られがらも、巨悪に正義の制裁を加えるまでの勧善懲悪モノです。
ところが、展開は同じでも、作品の空気感はまったく違います。
先ず、主役を演じる俳優が、クルーズとは違い、195センチの巨漢でプロレスラー並みのマッチョです。
しかも、クルーズのような人の好さは微塵も感じさせません。
もちろん”正義のアウトロー”というぐらいなので、根が優しいことは伝わってくるんですが、
無口でぶっきらぼう、時折毒のあるジョークを吐き、ある意味、薄気味悪くさえあります。
クルーズ版では、敵も時折ユーモラスなポンコツぶりを見せますが、
本作の敵は、善良な市民をひたすら残虐な方法で殺害する異常者ばかりです。
当然、対するリーチャーの方も、容赦ありません。
まるでサイコな殺人鬼を思わせるような殺しっぷりです。
ダークヒーローを思わせるような野蛮さが、
クルーズ版のリーチャーにはない、一種の頼もしさみたいなものを感じさせます。
事件の謎解きの部分も良く練られており、単なる荒っぽいアクションものにとどまらず、
緻密なサスペンスとしての面白さも兼ね備えています。
主役もストーリーも原作に忠実に作られたジャック・リーチャーは、
映画版に失望した人にこそ、是非お勧めします。