ジェンダーの壁

パンケーキとかフレンチトーストが大好きなんですが、この手のお店は圧倒的に女子率が高く、出張中一人ランチしようにも腰が引けてしまいます。

GWのような長い休みの時に、妻を誘って行くしかないんですが、男子の客は、カップルやファミリーに混じって、一人か二人いる程度です。

先日、妻と訪れたフレンチトーストの店に、フツーのオジサンが一人で入ってきました。
きっと彼は、奥さんを亡くして、思い出に浸るため久しぶりにこの店を訪れたに違いない、とか勝手に物語を作り上げて、ちらちら見ながら聞き耳を立てていたんですが、デザートのアイスクリームのフレーバーまで、迷わずオーダーしていましたので、単なるスイーツ好きなオジサンだったようです。

女子率が高い店でこんな人を見かけると、滑稽に見える半面、切なさも感じてしまって、心の中でつい応援したくなります。
オジサンが一人でも気兼ねなくスーツを食べられる世の中がくるまでガンバって下さい、と心の中でエールを送っているわけです(ちなみに心の中では、中島みゆきの「ファイト!」が流れています)

男がジェンダーの壁を越えようとすると、どうしても変人に見えてしまうんですが、逆に、男子比率の高い店、焼き鳥屋とかパブで、女子が一人でビールを飲みながら、文庫本を開いてたりすると、カッコよく見えるから不思議です。

明らかに女子がジェンダーの壁を越える方がカッコよく見えてしまうのも、男目線の偏見なんでしょうか。

バスの運転手さんは圧倒的に男子が多いんですが、都市部の混雑した路線なんかだと、「運転手さん、家でなんか嫌なことでもありました?」って聞きたくなるぐらいに不機嫌そうな人が多くて、こんなピリピリした空気が漂ってるから、年寄りがビビッて、バスが止まる前に席を立とうと焦るんじゃないのかな、などと思ってしまいます。

ちなみに「バスが止まってから席をお立ち下さい」って何度もアナウンスされると、お客さんの安全のためだとわかっていながら、逆に、停止したら秒速で降りないと怒られるんじゃないかっていう、変なプレッシャーを感じてしまいませんか。

最近は路線バスを運転する女性ドライバーが増えてきましたが、彼女たちは例外なく、お客に寄り添った丁寧な仕事をする人たちばかりで、いつも頭が下がります。
そんなに一所懸命働いて、疲れませんか?って心配になるくらいです。

タクシーも同様に女性のドライバーの方が、安全運転なので安心できますが、極めつけは、女性のパイロットですね。
滅多に出くわす機会はないんですが、地方路線のプロペラ機なんかで遭遇したことがあります。

花形路線の、いかにもチャラそうな(例外なくカッコいいが故の偏見です)男性パイロットに比べると、女性の方が、安心して命を預けられそうな気がしてしまいます。

緊急事態に直面した男子は「ここは一発、高速道路に胴体着陸して男を上げてやるぜい!」とか無駄な男らしさを発揮し、大惨事を引き起こしそうな気がしてしまいますが、女性だったらもっと現実的に対応してくれそうな気がします(ハイ、逆の意味での偏見です)

半世紀以上生きてきて、今更無理にジェンダーの壁を越えようとすると、変態にしか見られませんが、せめて、フレンチトーストの店に一人で入って、しかもカッコよく見えるような立ち居振る舞いができれば良いなと思っています。

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