
サイゼリアの創業者、正垣泰彦氏の著書です。
利他、反省、調和、努力、と言ったテーマで正垣氏の経営姿勢が語られ、最後に本書のタイトルにも掲げられた「法則」で締めくくられています。
利他→努力を怠らず、人のために、”正しく”進んでいるのか反省を繰り返す。決して現状に満足しない。理想はタダにすること。
反省→目の前の現実を受け入れ、嫌なことも自分を変化させるチャンスと感謝し、改善を繰り返す。結果が良くない時は、必ず自分が間違っている。
調和→嫌なことが起きたら「ありがたい」と喜ぼう。一番近くにいる人を大切にすることが調和への第一歩。
法則に至る各章では、自己中心の考え方を捨て、常に”人のために”自社の製品、サービスを提供する姿勢の大切さが述べられています。
安くておいしい料理を提供することが使命であり、理想はタダにすることと言い切ります。
精神論のようですが、根底には、正垣氏が大学で学んだ物理学があります。
人のために費やしたエネルギーが、形を変えて伝播し続け、この世界は自ずと調和に向かう、といった具合です(エネルギー保存の法則)
正しい行い、善い行いの結果としてビジネスの成功があることを仰りたいようです。
生産性の向上は、エントロピー増大の法則を念頭に図られています。
店舗網が拡大すればするほど、エントロピーが増大し、無秩序な状態が生まれる。
高い生産性を保つためには、秩序を維持する努力を欠かさず、ある程度の自由を制約しなければならない、と説きます。
まるで伝道師から教えを受けているようなので、理想論にも聞こえてしまいますが、昨今流行りのセルフオーダーシステムが利用者からネガティブな評価を受ける中、同社の新オーダーシステムだけは好意的に受け止められている点からも、高垣氏の思想が決して口先だけではないことがわかります。
