キーエンス解剖 〜最強企業のメカニズム〜 / 西岡杏

画像引用:Amazon

BtoB企業のため、一般消費者には馴染みの薄い同社ですが、トヨタ、ソニーに次ぐ時価総額を誇る(2022年11月28日終値)、まさに副題にあるとおりの”最強企業”です。

同じく副題にあるとおり、その原動力となっているのが”メカ二ズム”です。

営業担当の行動は、全てKPIで管理されています。
例えば、取引先に対し1日に何件の電話をかけなければならないか、までKPIで規定されています。

一見、ブラック企業のように聞こえますが、人事評価面では、結果ではなく、KPIを達成しているか否か、所謂プロセス(過程)で評価されます。

逆に言うと、KPIを実行しさえすれば、誰でも一定の成果が挙げられる、という仕組が完成していると言うことです。

KPIは、営業部門だけなく全ての部署に設定されていますが、そのような仕組(メカニズム)が構築できているのは、創業時から、何をすれば受注に繋がるか、といったデータを収集し、それを共有のデータベースに集積し、分析し、行動に指針(KPI)を与え、結果を検証するというサイクルを愚直に繰り返してきたからに他なりません。

データの収集にあたっては、個人の情報の囲い込みを厳格に禁じ、誰もが会社全体のために情報を放出する仕組みが用意されています。

徹底的に属人性を排し、仕組によって企業を成長させてきたのが同社です。

もちろん、仕組みだけではなく、商品開発面での優位性あってのことですが、開発の基本にあるのは、常に顧客の隠れたニーズを掘り起こす精神です。
「顧客が欲しいというものはつくらない」という極端な価値観からもわかりますが、顧客の要望に対応していては遅い!と言うことです。
顧客自身が気づいいないような潜在的な需要を掘り起こさなければ、競争に勝てないということです。

当たり前のことを、愚直に、誰でもできるような仕組に乗せてやり切ることが、同社の強さを支えています。

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