松茸狩りの余韻に浸る

突然ですが、我が娘婿は、天然かつ善人です。

天然善人エピソードには事欠かず。
初孫が誕生した際、産院での育児教室に、
臨月のお母さんたちに交じって唯一人参加し、産院の歴史に名を刻んだくらい善人です。

言葉を覚えたての孫が、マスクのことを何度もマクスと言い間違えているのを聞いているうちに、
どっちが正しい普通名詞だかわからなくなるくらい天然です。

基本的に、世の中の下世話なトピックスは何一つ知りません。
萩原健一さんが亡くなった時も、亡くなったことを知らなかっただけではなく、
萩原健一さんが誰なのかも知りませんでした。

「傷だらけの天使」世代のイダログにとっては、まったくもって許せない態度です。

じゃあ逆に、知ってる話題は何なんだって言うと、それも定かではありません。

たぶん、マスクとマクスの区別がつかなくなるのも、世の中のトピックスを知らないのも、
私と違って、汚れた情報を沢山ため込まないようにするための”ろ過装置”が備わっているからだと、
好意的に評価しています。

心が汚れ切った私とは違い、人の好さにかけては徳を積んだミャンマーの坊さん並みですから、
きっと天国に行った時には、善人偏差値70点以上のグループに入れられるでしょう。
現世を離れたら、二度と顔を合わせることはないと思います。

そんな婿君も交え、松茸狩りの参加賞でいただいたすき焼きセットを囲んだ数日後、
パート中の娘に婿君から電話がありました。
孫をすぐに病院に連れて行かなければならないような事態に陥ったらしいんですが、
慌てて帰ってこなくても良いよ💛と、平静を装い勤務先まで電話をかけてきた時点で、
すでにパニックに陥っているのは明らかです。

どうやら孫の腸が、可愛いお尻から顔を出しているようだ、って言っているらしいんですが、
すでにネットを調べ尽くした婿君は、立派な臨床医師になっているようでした。

日頃から婿君の天然善人っぷりを熟知している娘は、動じることもなく何時もどおり家に戻ったところ、
案の定、スマホにくぎ付けの婿君の傍らで、
腸が飛び出しているはずの孫は野放し状態、クルスマスツリーに乱暴狼藉を働いている最中でした。

娘が孫のおむつを降ろすと、婿君の臨床診断では腸以外の何者でもなかったのに、
あら不思議、花の蕾のように可愛い孫のお尻の穴からは、
明らかに原型のままのシメジがぶら下がっているではありませんか。

香り松茸味シメジっていう言葉がありますが、秋の味覚を味わった余韻からでしょうか、
松茸からシメジを飛び越え、いきなり腸が飛び出してきちゃった、
っていう松茸繋がりのオチで纏めてみました。

タイトルとURLをコピーしました