サットンフー遺跡発掘にまつわる実話を基にした良作です。
病を得た資産家の未亡人（キャリー・マリガン）が、遺跡発掘のために土地を買い取り、
アマチュアの発掘者（レイフ・ファインズ）に発掘を依頼し、
歴史的な発見を成し遂げるまでの話です。
ただ、発掘の過程での苦労や情熱はそれほど深く掘り下げられていないように感じます。
心動かされるのは、現在を生きる生身の人間が抱える、
親子愛、孤独感、嫉妬、生きる者の死すべき宿命、戦争等が、
歴史と対比して浮かび上がってくる点です。
とてつもなく大きな世界や、時間の流れと対比された時、
人々の営みは卑小なものに見えてきますが、同時にとても愛おしく感じられます。
戦争の不穏な影が忍び寄ってくる時代背景を背負いながらも、
イギリスの荘厳な田園風景の中で営まれる人々の生は、
見る者の心を穏やか癒してくれるます。