ジョブ理論/クレイトン・クリステンセン

画像引用:Amazon

原題は「COMPETING AGAINST LUCK」です。
運任せで競争してもダメ!といったところでしょうか。

ビジネスパーソン必読の書と評判の本書ですが、
文中の言葉を借りて要点を端的に表現すると、
「どんな”ジョブ(用事、仕事)”を片付けたくて、
あなたはそのプロダクトを”雇用”するのか?」となります。

また、引用されている経営学者の言葉からも示唆されています。
「人は刃の直径が4分の1インチのドリルがほしいのではない。
4分の1インチの穴がほしいのだ」(セオドア・レビット)
「企業が売れると思ったものを顧客が購入することは滅多にない」(ドラッカー)

これだけでも、本書の本質が見えてくるようです。

乱暴な言い方ですが、ビジネスの現場で繰り返し示唆されてきた、
“マーケティング志向”とか”顧客ニーズを汲み取れ”
と同じ目線で顧客を捕らえているとも言えます。

なーんだ、だったら言われなくてもわかってるよ、
となりそうですが、
顧客起点でスタートアップし、イノベーションを成し遂げた企業ほど、
ビジネスが軌道にのってくると初心を忘れてしまいがちです。

顧客が抱えている課題から目を背け、データだけを過信し、
売り手・作り手目線のプロダクトを顧客に押しつける会社の何と多いことか。
答えは自分達の側にあるのではなく、顧客の側にあるはずなんです。

今さら言われなくてもわかっていることかもしれませんが、
“ジョブ”と”雇用”という斬新な切り口で突きつけられると、
あらためて基本に立ち返ったような思いがします。

とりわけコロナ禍では、今まで必要とされてきたジョブが変化し、
従来のヒット商品が簡単に”解雇”されてしまいます。
百貨店、スーツ、ビジネスシューズ等、数え上げればキリがありません。

顧客が必要とするジョブが何なのかを探りだし、
新しいジョブに対応していくことが、
イノベーションを生み出す起点になるのだということですね。

ところが、この顧客のジョブというのが複雑で厄介です。
一つのジャンル、カテゴリーに収まり切れるものではなく、
顧客にとっての様々な課題は複雑に絡みあい、
時に顧客自身でも自分が何を解決したいのかわからない場合さえあります。

例えば、「NO RULES」の記事で取り上げた、
Netflixのリード・ヘイスティングの言葉も引用されています。
「リラックスのためにすることなら、なんでも競争相手だ。
ビデオゲームと競い、ワインを飲むこととも競う。
じつに手ごわいライバルだね。」といった具合です。

一方で、データについては懐疑的です。
データが人の手を経て提示される時、そこには必ず恣意性が入りこむ、
だからデータではなく、ジョブを把握することが最も大事だと言っています。

オリンピック開催に関する世論調査では、
つい最近までは8割が反対だったのに、今じゃ5割が賛成だそうです。

データは誰がどんな意図で利用するかによって、
切り取る部分が違ってきて、見え方も違ってくる、
と本書では警告しています。

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