そうめんの適量問題

麺類が好きで、夏場はそうめんや冷やし中華を定番にしていますが、
休日の昼食、妻にそうめんをリクエストすると、
決まって「またかよ」みたいな顔をされます。

そうめんは味に変化がないから食べてる途中で飽きてしまう、
というのが嫌がる理由のようですが、
途中で味が変化する麺類があったら教えてもらいたいものです。

確かに、そばと違って麵自体が自己主張していないし、
つゆも、ドロッとしたそばつゆに比べると、淡泊で控えめな感じはしますね。

ちなみに、麺つゆにはミツカンの”追いがつおつゆ”を使っているんですが、
これって大変な発明だと思いませんか。
子供の頃は、卵かけご飯もそうめんも醤油だけしか選択肢がありませんでしたが、
“追いがつおつゆ”を知ってしまったら、もう元の世界には戻れません。

さて、そうめんを茹でる時いつも頭を悩ませるのが、一人前の分量です。
謎に一束80gが多いんですよね。
パスタみたいに100gが基本じゃないから困ります。

スーパーで売ってるのは80gが多いようですが、
製造者によって微妙に分量が違っていて、基本的に無秩序状態です。

かと思うと分類は、日本農林規格(JAS)によって決められていて、
干しそうめん→長径1.3mm未満(手延べの場合は長径1.7mm未満)
干しひやむぎ→長径1.3mm以上1.7mm未満(手延べの場合は長径1.7mm未満)
干しうどん→長径1.7mm以上(手延べの場合も長径1.7mm以上)
だそうなんです。

うどんはともかく、そうめんとひやむぎになると、もうどっちでも良くない?
ってなりますよね。
しかも手延べだと、結局どっちを名乗ってもOKみたいな曖昧さです。

ちなみに、ひやむぎには色のついた麺が混じっていて、
そうめんと差別化されているらしいんです。
子どものころは、”おまけ”かなんかと思って無邪気に喜んでいましたが、
実は水色の麺には重要な役割があったんですね。

そうまでして違いを明確にするからには、
きっと奈良時代に両派の対立や武力抗争があって大勢の命が失われたに違いありません。

そこを厳格に区別するぐらいなら、
何束茹でたらいいか迷わなくて済むようにしてもらいたいものです。

一方、Amazonで検索すると、主流は100gや50gです。
さすがはAmazonさん。伝統よりも顧客の利便性を優先しています。

「工場長、今時80gはおかしいでしょ。100gに変えらないの」
「いや、若社長、80gは先代の時から決まってるんですよ」
「しかし、アマゾンさんからは、そんな中途半端な分量じゃ売れないって言われてるよ」
「そんなジャングルに住んでる人達のことは考えんでもいいですよ!」
みたいな議論が、全国のそうめん工場で交わされたような気がします。

もう少し突っ込んで調べてみたところ、先代の掟だけじゃなく、
“重量変化率”ってヤツも関係しているようです。

そうめんの変化率は、270%なんですが、パスタは220%だそうです。
(参考:文部科学省HP)
そうなると、
そうめん→80g×270%=216g
パスタ→100g×220%=220g
あら不思議、茹でて膨張するとほぼ同じ分量になるじゃありませんか。

なーんだ。80gで十分なんですね。
と思って茹でてみると、やっぱり全然物足りないんですよ。
かと言って二束茹でると逆に多すぎて、
「途中で飽きちゃうから嫌なんだよね」と振り出しに戻ってしまいます。
(はい。二人で三束っていう手はありますね)

いっそ20gにしてくれると、微妙な調節ができるんでしょうけど、
「若社長、そんなんで束にたら軽く握っただけでバラバラに折れちゃいますよ。
ベビースターラーメンになっちゃうじゃありませんか」
ってなことになるから、結局そうめんを何束茹でるかっていう問題は、
永遠に解決しないんですよね。

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