「Preacher」は、シーズン1のラストシーンが一番好きでした。
カスターとチューリップとキャシディの3人が、
天国から失踪した神様を探して旅立つシーンなんですが、
これから血みどろの地獄へ向かって行くのに、
三人とも心を躍らせていて、一番ワクワクしたシーンです。
そこで使われていたのはストーンズの「Let It Bleed」だったんですが、
そのシーンが、シーズン2のオープニングに繋がっていて、
そこで3人が合唱するのが、Dexys Midnight Runnersの「Come On Eileen」です。
ケルト音楽を基調にしていて、
フロントマンのケビン・ローランドがアイルランド系英国人だったため、
私の中では、すっかりアイルランドのバンドとして位置づけられています。
アイルランド独立戦争(吸血鬼なので100年ぐらい生きています)で
苦い思い出を持つアイリッシュのキャシディは、「嫌いな曲だ!」と言い放ち、
カスターとチューリップも「最低!」と罵るんですが、
自然と3人が唱和するシーンがとても素敵でした。
1982年のリリース当時、何度も”レコード盤”に針を落とし、
夢中で聴いた思い出があるんですが、残念ながら一発屋と言われています。
「Preacher」の中で久しぶりに耳にし、昔の友だちに再会したような気分でした。
彼らの代表曲は「Come On Eileen」ですが、
私のお勧めは「Let’s Make This Precious」です。
黎明期のパンクの流れを汲みつつも、ケルト音楽を基調とし、
ロックやR&Bなど様々な音楽の要素が絶妙にブレンドされています。
誰もまねのできないような独創性を維持するのが難しかったのと、
先のことを考えず潔く才能を使い切ってしまったのが、
その後の失速の原因だったんじゃないかと勝手に思っています。
バンド名をThe Dexysと変えて今も活動を続けていますが、
残念ながら当時の熱量は感じられません。