スタンド・バイ・ミーと似た空気感を持つ、成長物語の佳作です。
しかし、主役にクレジットされているのはマシュー・マコノヒーなので、
同時に、大人になりきれない男たちの物語でもあります。
アーカンソー川のボートハウスで暮らす少年エリスと親友ネックが、
愛する女性(リース・ウィザースプーン)のために殺人を犯し、
マフィアと警察の両方からから追われている男、
マッド(マコノヒー)の逃避行を助ける話です。
危険な冒険を経て成長していく少年たちの姿は、
スタンド・バイ・ミーを彷彿とさせます。
マッドをはじめとして、少年たちに寄り添う男たちは、
総じて大人になりきれていません。
皆不器用で、成功者とは言えない人々です。
成功するためには、大切な何かを捨てなければならず、
割り切れない男たちは、少年のままでいることもできず、
大人にもなりきれず、社会の底辺でくすぶっています。
女たちは、そんな男たちに見切りをつけ、
したたかに生きる道を選んで離れていきます。
エリスは、純愛を貫こうとしないマッドに苛立ち、
少年らしい純粋さで反発しますが、
マッドはむしろ少年の頃から変わらぬ純愛を貫くがゆえに、
どうしても強引に恋人を連れて逃げることができません。
マコノヒーの演技は素晴らしく、
汗と泥にまみれたマッドは、大人になりきれなかった少年そのものです。
大人になること、成長すること、成功すること、
失くすもの、捨てるもの、忘れること、それらの組み合わせから、
少年たちがどんな答えを見つけて生きていくのかを、
問うているような作品です。
マッドの親代わりをサム・シェパードが演じていますが、
感情を抑えながらも、見るものを熱くさせる演技は、さすがです。
(彼が主演した「ライトスタッフ」は不朽の名作です!)
ロッテントマトの批評家レビューは、98%でした。
まだまだ、見落としている良作があるものです。