2017年のアカデミー賞で6部門にノミネートされ、
主演男優賞(ケイシー・アフレック)と脚本賞を受賞して話題になった作品です。
地味なストーリーのため、今まで敬遠していましたが、
最近Amazonプライムにアップされていたので、あらためて鑑賞してみました。
過去の辛い経験から立ち直れないリーという男(アフレック)が、
病気で死んだ兄から、遺言で息子(リーの甥)の後見人に指名され、
甥の将来に責任を負うことの不安に動揺しつつ、
過去の悲劇からも立ち直れず葛藤する話です。
ネタバレを気にするほどの劇的な展開はなく、
淡々と、しかし丁寧に、リーの内面の葛藤が描かれていきます。
そんなストーリーが2時間以上続くので、
覚悟を決めて向き合わないと、気が滅入ってしまうかもしれません。
甥との交流や別れた妻との再会で、微かな光は見いだせるんですが、
決して安易な決着に導かないのが、この映画の良さだと思います。
大切な人への思いが強ければ強いほど、
心の傷はそう簡単に癒せるはずがない、と訴えかけているようです。
絶望や後悔と向き合って生き続けることで、
贖罪を果たそうとするリーの姿からは、
自分が不幸にしてしまった大切な人への面影と、
ずっと寄り添って生きていきたいという切実な思いが伝わってきます。
MCUばかりがアメリカ映画ではない、
と思い出させてくれる良心的な作品です。