
ニトリホールディングス代表による、日経新聞の「私の履歴書」を書籍化したものです。
幼いころから経済的に苦労してきた氏は、自身をすさまじい劣等生と評しています。
小学生の頃、自分の名前を漢字で書けなかったという逸話を持つほど、勉強が苦手だったそうです。
だからと言って、一念発起、勉学に精を出すわけではなく、カンニングで当座の困難を切り抜けようとしたそうですから驚きです。
長じてからも物覚えが悪く、持ち物をどこにやったからわからなくなることが日常茶飯だそうですが、74歳の時にADHDと診断されたことで本人も合点がいったようです。
そのような矯正が困難な性格面の弱みを、ビジネス面の強みに変えられたことこそが、氏の成功のカギだったのかもしれません。
常にゴールや理想の姿を描いて、そこに向かって早々に手を打っていきますが、緻密な計画を立てて走り出すタイプではないようで、行き当たりばったりな印象も受けます。
そのせいもあってか、失敗や試行錯誤を繰り返し、何度も経営破綻の危機に見舞われます。
果ては、自身が創業した会社から追放されそうになる窮地も経験します。
同社の特徴でもある、海外生産による低価格化にしても然り。
輸入業務のなんたるかもわからないまま、とりあえず調達先見つけるため海外に飛び出していきます。
“見る前に飛べ”の精神です。
そんな似鳥氏の人柄ですから、子飼の社員たちは、たとえ社長であっても、遠慮なく物申し、苦言も呈します。
氏の経営哲学は、「短所あるを喜び、長所なきを悲しめ」の一言に凝縮されています。
短所を直さず、長所を伸ばせ、と言う意味ですが、決して完全無欠な経営者ではなく、常に迷い失敗しながらも、決してあきらめず前進し続ける似鳥氏の生き方を表しているようでもあります。
ビジネスの極意についてはあまり学べないかもしれませんが、一風変わった経営者の姿には、新鮮な感動を覚えます。
