アメリカの名門寄宿学校を舞台に、融通の利かない堅物の歴史教師、成績優秀ながら反抗的な生徒、ベトナムで戦死した卒業生の母であり学校の料理長の女性、の3人がクリスマス休暇で誰もいなくなった寄宿舎に居残り、ともに過ごす物語です。
コメディとはちょっと違いますが、物語のトーンは軽妙です。
相容れない3人ですが、それぞれの胸の内には悲しみが燻ぶっています。
共同生活を送るうちに打ち解け合い、お互いの気持ちに寄り添えるようになります。
ある意味予定調和な物語ですが、丁寧な演出が奏功し、見る者の心にじんわりとしみ込んでくる味わい深さです。
制作は2023年なのですが、舞台となった1970年のクリスマス休暇の空気が、うまく表現されています。
まるで、1970年代の映画を見ているかのような、懐かしさを感じさせる演出が見事です。
名作「セント・オブ・ウーマン」を思わせるような、教師と生徒の絆が胸を打つ良作です。