Netflixの2023年制作、8エピソードのリミテッドシリーズです。
1890年(遠い過去)、1941年(近い過去)、2023年(現代)、2053年(未来)という四つの異なる時代の同じ場所で、同じ死体を見つけた4人の刑事が、大きな力に邪魔されながらも信念を貫き、真相を突き止めようとするお話です。
いわゆるタイムパラドックスものですが、タイムループの影には権力を操る黒幕がいます。
4人の刑事たちは、相互に直接意思の疎通ができるわけではないのですが、それぞれが残した痕跡でつながりあいながら、事件の謎を解きほぐしていきます。
鍵を握る黒幕により引き起こされた歴史的災厄を阻止できるかが、物語のメインテーマですが、「愛されている」と言うキーワードが劇中で何度も繰り返されるように、物語を動かしているのは、愛を知らない人間の苦しみです。
最終的には、「愛されている」という受動態ではなく、誰かを愛し、誰かのために犠牲をいとわない、能動的な愛の大切さを訴えているようです。
辻褄の曖昧さに疑問を感じる箇所も多少ありますが、そこはタイムループものの宿命なので目をつぶり、作品全体の緊迫感に身をゆだねれば十分楽しめます。
リミテッドシリーズなので続編は作られないはずですが、ラストは若干の謎を残したまま終わります。
それでも、一気見に付き合った挙句、裏切られたような後味の悪さは一切感じられず、SFと人間ドラマの融合に魅了された満足感に満たされます。