春に配信されたファイナルシーズンのパート２を、あえて視聴せず、今回のパート３と合わせて一気見しました。
コミックは既に読み終えていたので結末はわかっていましたが、アニメの方が描写がキレイな分だけ、物語の展開もわかり易すかったように思います。
ラストのネームに若干手が加えられたことにより、物語の骨格には大きな変化はないものの、ややエレンに寄り添った描き方になっていたようです。
今さらストーリーに触れる必要はないと思いますが、ウクライナやパレスチナの問題が切実に感じられる今だからこそ、見るべき（又は読むべき）作品だと思います。
虐げられる者と虐げる者、殺される者と殺す者、それぞれの立場が物語の途中から入れ替わることで、見る者は双方の心情を疑似体験することを強いられます。
正義と悪の境界線も曖昧なまま、人々は戦いに身を投じますが、絶望的な状況の中で、ようやく敵味方を越え人間性を取り戻す点が僅かに救いです。
一方、自らが人類の敵となり、皆の憎悪を一身に集めることでしか、不毛な戦いを終わらせることができないことを悟ったエレンの心情には、胸が締め付けられます。
永遠に争いを続ける人間の業を思い知らされ、救いようのない思いばかりが募る物語なのですが、そこから目を逸らさせてくれないのが、本作の凄味です。