昨年末、ささやかな忘年会をともにしたお客さんが、
2021年の邦画で一推ししていた作品の原作本です。
固い仕事のお客さんだったので、どんなにシリアスな作品かと思いきや、
人見知りを克服するため、メイド喫茶(舞台は青森です)に勤め始めた主人公が、
周囲の個性的な仲間との友情を育みながら、成長していく物語でした。
並行して、祖母直伝の津軽三味線を通した、家族との絆が描かれていきます。
画像のとおり、恥ずかしくて本屋さんのレジに出せないようなカバーイラストですが、
ストーリーには無駄がなく、中編程度のページ数で上手くまとまっています。
笑いあり涙ありの展開は、確かに映像化には打ってつけですが、
原作の方も感動を誘う佳作だと思います。
ちなみに、タイトルになっている主人公の名前の”いとみち”は、
三味線の棹を持つ左手人差し指の爪に作る溝(糸道)のことだそうです。