良心の呵責

JRも幹線ではなく地方交通線とよばれる田舎の路線に入ると、単線で1両か2両編成の電車が走っています。
私が住んでいる街にも、ほとんど路面電車のような地方交通線が走っていて、沿線に大学や高校もあるため、朝夕は上下線ともに通勤通学で混雑しています。
単線なので、上りとと下りがすれ違う時には、どちらかが駅で待機しているという、鉄道ミステリーのネタになりそうな光景が見られます。
そんな、のどかな田舎の路線を仕事やプライベートで利用することがあるんですが、時間帯によっては1時間に一本だったり、終電も早かったりで、お酒を飲んで帰ってくるときなんかには注意が必要です。

加えて戸惑うのが、乗降の手順です。
①乗車駅ICカード○/降車駅ICカード×→乗車駅の券売機で必ず切符を購入しておく
②乗車駅ICカード×/降車駅ICカード×→バスみたいに車内で整理券をとって、降車時に運転席隣りの運賃箱に整理券と料金を入れる
ローカルルールは、ちょっと複雑です。

①のケースで切符を購入していなかった場合、運転手さんとの間でひと悶着起こります、というのは大袈裟ですが、”料金未納書”みたいなメモを渡され「次回駅員がいる駅で支払ってください」などと言われます。

そんなシステムを理解していても、困ることがあります。
③乗車駅ICカード×(整理券乗車)/降車時ICカード○(但し無人駅)→出札口に料金箱が置いてあり”整理券の方は、現金を入れてください”と書いてある

やっと本題に辿り着きました。
事前説明だけで、ずいぶん文字数を費やしてしまいました。

そんな投げやりな支払い方法なんて、まるで無人の野菜直売所みたいです。
もしくは、賽銭箱とも言えます。
誰もいない真っ暗な駅舎なので、こういう時って良心を試されているようで居心地が悪いんです。
支払うのが当たり前なのに、誰も見ていないところで正直に料金箱に小銭を入れるだけで、まるで善人になったような気になるから不思議です。

乗換アプリで料金を確認すると760円でした。
どちらかと言えば反キャッシュレス派なので、常に多少の小銭は持ち歩いていますが、キャッシュレス派の人だったら払えないような高額(?)な現金です。
なんとか小銭をかき集め、この時とばかりに、大胆にも5円玉4枚で20円にしたりとか、その程度でも悪事を働いているような気になる小心者のイダログです。

小心者なので、もちろん料金をごまかそうなんて大胆なことは思いもしません。
しかし、小銭が足りない時はどうしたら良いのでしょうか。
根っからの善人なので無賃乗車は良心の呵責に耐えられない、という理由ではありません。
もし、監視カメラがまわっていたらどうしようって言う子悪党の心情です。

良い子の皆さんは、760円の料金に対し、千円札しか持っていなかったらどうします?
それこそお賽銭みたいに、太っ腹に千円札を入れますか?
そんなことをしたって、JRさんが監視カメラで私を見つけ出し、お釣りを届けてくれるようなことは絶対ありませんし、善意の寄付として感謝してくれることもありません。
本当にお賽銭にしかならないのですが、無人駅の料金箱には神様はいらっしゃらないので、なんの御利益もありませんよね。

先日の高速道路のシステムトラブルでは、9割の利用者が後払いの要請を無視したそうですから、無人駅での支払いの実体には興味があります。
ネットで調べた限りでは、監視カメラがあるはずだから、全体無賃乗車はできないと書いてありますが、本当にそこまで調べるのでしょうか。
それとも、たまーに、抜き打ち検査で犠牲になる小悪党がいるのでしょうか。

千円札を入れて、お釣りが欲しいからと言って料金箱に手をつっこんだら警報ブザーが鳴るなんてことはあるのかな。
または、翌日「お釣り下さい」とお願いに行ったら、いただけるのでしょうか。
小銭を持ち合わせていない場合の対処法については、ネットで検索しても明確な答えが見つかりませんでした。

支払いも善意に任せてるんですから、ついでに”お釣りの必要な方は、こちらからお取りください”って料金箱の横にお釣り箱を用意しておいたらどうなるかな、などと妄想してしまいます。
いっそのこと、小さな仏像でも置いておいて、余分に払えば御利益がありますってことにしておいたら、皆がハッピーになれるかもしれません。

善意に頼った曖昧なシステムって、むしろ対応が難しいですよね。

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